今こそ「腕の見せ所」 第2波が到来したコロナから、総務は会社をどう守る?:「総務」から会社を変える(3/4 ページ)
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。第2波が到来した新型コロナから、総務はどう会社を守るべきか。出社させるのか、在宅にするのか。出張や通勤など、移動の制限を設けるのか、プライベートでの感染症対策をする場合には、どこまで踏み込むべきなのか。勘所を豊田氏が解説する。
特にテレワークを導入した企業などでは、ITに慣れた若い人材はともかくあまり詳しくない高齢層の負担は高いと推察できる。残業時間の厳密な管理だけでなく、ツールの使い方を細かくマニュアル化することや、業務時間外の雑談をする場を設けることなどが、案外感染防止にもつながってくるのだ。
飛沫感染と接触感染ルートをすことと同列で、この従業員の免疫力維持も取り組みたい施策である。昨今話題の「健康経営」を、このコロナ対応という切り口であらためて推進していくのも一つの方法である。
必要なのは「正しく恐れる」こと
ここまで総務主導でいろいろな対策を紹介してきた。とはいえ、全部が全部、総務で運用やルールを設定して済むものではない。総務が設置して完了となるものは案外少なく、執務デスクや会議デスク、リフレッシュルームのテーブルの上に、透明のアクリル板を設置することぐらいだ。
ドアノブ、共用備品、テーブルの小まめな消毒(カフェなどで店員さんが行っている作業)を総務が全て行えるかどうかといえば、難しい。つまり、経団連のガイドラインで示されている大部分が、従業員の協力なくしては徹底できないものなのである。しかし、方法は誰でもが理解でき、簡単にできるものではある。そこで、社内でのルールを決め、それを周知することが総務にとっての現実的なミッションとなるだろう。
そのために重要なのが「正しく恐れる」こと。新型コロナに感染した場合の健康被害はまだ詳しく解明されていないし、完治しても後遺症が残る可能性がある。それに、仕事への支障だけでなく、家族内の感染も増えている中で同居家族への感染リスクも無視できない。とはいえ、やたらに恐怖を煽ることは必要ない。先に記した感染ルートをつぶせば感染リスクが大幅に低下するという事実を総務として理解し、社内へ周知することこそ、感染対策の本質となるのだ。
感染対策もITを活用
ちなみに最近では、オフィス内で「三密」を回避するためのツールも登場し始めた。
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