今こそ「腕の見せ所」 第2波が到来したコロナから、総務は会社をどう守る?:「総務」から会社を変える(4/4 ページ)
『月刊総務』編集長の豊田健一氏による、総務とDXを巡る連載。第2波が到来した新型コロナから、総務はどう会社を守るべきか。出社させるのか、在宅にするのか。出張や通勤など、移動の制限を設けるのか、プライベートでの感染症対策をする場合には、どこまで踏み込むべきなのか。勘所を豊田氏が解説する。
例えば、スマートフォンへ事前にアプリをダウンロードしておくと、無線LANやBluetoothを使って、そのスマホを認識し、特定の部屋にいる人数を把握。設定してある人数を超えると通知されるというものも活用され始めている。出社率から割り出した各部屋の制限人数を設定しておけば、三密回避ができるだろう。
また、オフィスにおける感染対策で問題となる共用部、特にエレベーターの三密回避に使えるツールも出ている。エレベーターはかなり狭い空間で不特定多数の利用もあり、利用者の多くが不安を感じている。その対策としてどのエレベーターに乗車すると良いかを、社員証をかざすことで指示を出し、その指示に基づいて乗車すると結果として、乗車率の管理ができるというものが出てきた。これも乗車率を設定しておけば、それ以上は乗車させることはない。
あるいは、最近目にすることがかなり増えた、建物の入り口に設ける検温システム。顔認証や社員証によるセキュリティシステムと連動すれば、誰が検温ではじかれたか、逆に誰が出社して、どの部屋に滞在したかのログが残り、感染者が出てしまった場合の濃厚接触者の割り出しに一役買いそうだ。
今後は次々にこのような感染対策を目的としたIT関連商材が登場してくると思われる。先に記した、飛沫感染ならびに接触感染ルートの対応と健康管理をいかに効率よく、さらに従業員へ負荷をかけず実践できるか。加えて、どのようにテクノロジーを活用して対応できるか、まさに総務の腕の見せどころだ。
その実現のためにも、引き続き、総務の情報収集能力が問われる時代でもある。ベンダーとの関係性から情報を収集する。あるいは、Tech系メディアから情報を収集する。内向きの業務にただ忙殺されるだけでなく、外に向けたルートの開拓をコロナを機にあらためて構築したいものだ。
著者プロフィール・豊田健一(とよだけんいち)
株式会社月刊総務 代表取締役社長 『月刊総務』編集長
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』を発行している株式会社月刊総務の代表取締役社長、『月刊総務』の編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの副代表理事や、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。
著書に、『マンガでやさしくわかる総務の仕事』(日本能率協会マネジメントセンター)、『経営を強くする戦略総務』(日本能率協会マネジメントセンター)
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