既存の銀行を破壊する? 最近話題のDeFiとは(2/4 ページ)
この数カ月、暗号資産業界で話題なのがDeFiだ。DeFiは「ディーファイ」と読み、Decentralized Finance、分散型金融の略。銀行など、従来の金融分野のサービスを、ブロックチェーンとその上で動くプログラムで実現するものとされている。
もう1つDeFiの代表的なサービスとしてユニスワップ(Uniswap)がある。これはブロックチェーン上のプログラムで動作する暗号資産交換所だ。DEX(Decentralized EXchange:分散型取引所)と呼ばれるものの一種だ。
イーサリアムや、イーサリアムブロックチェーン上のトークンであるERC20トークンについて、交換したいもの選んでボタンを押すだけで瞬時に取り引きが完了する。暗号資産取引所のように、資産をいったん預ける必要もなく、板取引も不要。「中央集権型の取引所と違って、ハッキングなどで自分の資産がなくなることを気にしなくていい。安心して預けられる。ユーザーが増えれば、流動性が増えて、取引所で板取引するよりも安く取引できるようになる。また中央集権取引所では売買できない量を一気に取引できる」(安昌浩CEO)などのメリットがある。
マネーレゴ
こうしたDeFiサービスは、いずれもブロックチェーン上で動くプログラムであるため、相互に連携させることも容易だ。複数のDeFiサービスを組み合わせて新しいサービスを作り出せることから、「マネーレゴ」とも呼ばれる。
例えばインスタダップ(Instadapp)は、さまざまなDeFiサービスを1つのアプリから利用できるようにするサービスだ。メイカーDAO、コンパウンド、オアシス、カイバー、ユニスワップなど各種DeFiサービスを、インスタダップから直接利用できる。
暗号資産を貸し出して利息を得られるコンパウンドには、アーヴ(Arve)などの競合となるサービスもある。インスタダップは、コンパウンドとアーヴの利率をチェックして、より高い方に自動的に貸し出すインスタブリッジという機能も持っている。
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