どうする?フリーアドレス 成功のための「5箇条」と、抵抗勢力の乗り越え方:成功するフリーアドレス・失敗するフリーアドレス(3/5 ページ)
コロナを機に普及した在宅勤務だが、緊急事態宣言が解除されてからオフィス出社へと戻す企業も相次ぐ。しかし、今後は在宅勤務だけではなくテレワークを実施していくことが、企業にとって生き残りの術であることは明らかだ。そこで、今回はテレワークの実施に必要不可欠ともいえる「フリーアドレス」のポイントを解説する。
(3)「できるところから」フリーアドレスにしてみる
部門によりフリーアドレス化が難しいところもあるでしょう。取引先や行政機関とのやりとりが多くペーパーレス化が進んでいない部門や、コールセンターのようにシステムなどがあり、固定席でないと業務に支障が出てしまう部門が思い浮かびます。このように業務フローを改革しないと難しい部門では、無理にフリーアドレス化を進めてもうまくいかないケースが多いと思います。
社内改革を進める上で重要なのは「成功事例を作ること」です。そのためには無理に全社一律で進めずに、まず「できるところからやる」ということが重要なポイントだといえます。改革に協力的な部門は必ずあるはずなので、まずは、そうした部門で「トライアル実施」と位置付けて始めるのもいいかもしれません。このように成功事例を積み重ねていくことも大事です。
(4)コミュニケーションスペースを設ける
フリーアドレス化は、物理的な席が離れることで、社員間のコミュニケーションが不足することもあります。そのために、社内でも簡単に集まれるコミュニケーションスペースをいくつか用意するといいでしょう。会議室ももちろんですが、個人が座るフリーアドレス席とは別の何人かが短時間で簡単に集まれるようなスペース、「井戸端会議」ができるようなスペースも必要です。
筆者の経験で言うと、フリーアドレス化を進めると、会議室の利用が減る傾向もあります。大人数で行う会議は会議室を利用しますが、1対1や少人数で行う会議が、フリースペースで簡単に行えるとか、固定席では座りにくかった横の席に「ちょっといいかな」と座って話をするような機会が増えたからです。「ライトなコミュニケーション」ができるスペースを設けることで、コミュニケーションの活性化につながるはずです。
(5)テクノロジーの活用
このほか、業務インフラ面の改革も忘れてはなりません。社内のWi-Fi環境や業務システムのクラウド化などによるロケーションに依存しない職場環境への変更を中心に、ペーパーレス化に伴う業務で使用するデジタルファイルの共有化も必要です。コミュニケーション活性化のために社内SNSの充実も検討してもいいでしょう。また、来社するお客さまへの対応や受電体制の構築なども必要になるかもしれません。自社の業務フローに合わせテクノロジーを活用した業務体制を構築して、ようやくフリーアドレスは完結するのです。
さて、このような手順を踏んでフリーアドレス化を進めても、いざ実施していくと多くの障害がでてくるものです。筆者がフリーアドレス化を推進したときに、実際にあった事例を紹介してみましょう。
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