誰もいない「土合駅」で、グランピングを運営してみた 結果は?:水曜インタビュー劇場(462段公演)(5/5 ページ)
無人駅の「土合駅」(群馬)で、ちょっとユニークな試みが行われている。駅の使われていないスペースに、グランピング施設を設置。また、きっぷ売り場でカフェをオープンしたところ、想定以上の人が訪れたのだ。運営を支援しているJR東日本スタートアップの担当者に話を聞いたところ……。
“おもしろい駅”ができそう
土肥: 「カフェは営業を再開」「グランピングは再開予定」ということですが、新型コロナのことを考えると、不安もあるのではないでしょうか?
佐々木: 感染が拡大するのか、終息に向かうのか――。不透明な部分がたくさん残っているので、運営を続けるうえで想定外のことが起きるかもしれません。ただ、三密を避けることを考えると、「無人駅」という立地は悪くないと思うんですよね。また、関係者に聞いたところ、キャンプ需要も戻りつつあるそうで。このように考えると、グランピングの運営もそれほど悲観する必要はないかなあと思っています。
土肥: 実証実験をやってみて、気付きなどがあれば教えてください。
佐々木: 「駅を使う」ことは、簡単ではありません。安全面を最優先しなければいけないので、さまざまなルールがあります。そこをクリアーして、何かを始めることができるわけですが、多くの人からさまざまな声をいただきました。「ワークショップをできないか」「地域の伝統工芸を紹介できないか」など。実際、ワークショップを開催して、多くの人に参加していただきました。
当社としても「自分たちだけで何かをしよう」とは思っていなくて、多くの人にいろいろな提案をいただきたいなあと思っています。そして、みんなで駅をつくっていくことができれば、これまでになかったような“おもしろい駅”ができるようになるかもしれません。
土肥: 全国には無人駅がたくさんありますよね。今後も増えていきそうな感じですが、そこで「人口が減っているから、仕方がない」と諦めるのではなくて、アイデア次第でさまざまな可能性が広がりそうですね。
佐々木: 土合駅以外にも、無人駅を活用したプロジェクトは進んでいます。例えば、山田線上の「上米内(かみよない)駅」(盛岡市)で工房とカフェをつくったり、信越本線の「帯織(おびおり)駅」(新潟県三条市)で燕三条地域の産業発信地と交流拠点にしたり。無人駅ではないですが、福島県の「小高駅」で地域の方々と協業して地域活性化を進めたり。
無地駅はたくさんあるので、当社だけでやるのは難しい。多くの人からアイデアをいただいて、地元の人たちと一緒にやっていきたい。そうすれば、これまでとは違った価値を提供できるようになるのではないでしょうか。そのための仕掛けづくりができればなあと。まずは、たくさんの事例をつくっていきたいですね。
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