誰もいない「土合駅」で、グランピングを運営してみた 結果は?:水曜インタビュー劇場(462段公演)(4/5 ページ)
無人駅の「土合駅」(群馬)で、ちょっとユニークな試みが行われている。駅の使われていないスペースに、グランピング施設を設置。また、きっぷ売り場でカフェをオープンしたところ、想定以上の人が訪れたのだ。運営を支援しているJR東日本スタートアップの担当者に話を聞いたところ……。
「ビジネスを継続できる」と判断
佐々木: 残念ながら影響を受けました。「キャンセル」の連絡をいただきましたが、それでも期間中の稼働率は70%ほど。新型コロナの感染が広がらなければ、100%を達成していた可能性があったので、「このビジネスはやっていけるのではないか」と考えました。
土肥: 「手応えがあった」わけですね。一方のカフェはいかがだったでしょうか?
佐々木: きっぷ売り場の内側に「モグcafe」をオープンしました。無人駅になってから、このスペースは何に使っていたのか。冬になると雪がたくさん降るので、駅周辺を除雪しなければいけません。作業する人たちが待機するために、ここが使われていました。というわけで、きっぷ売り場のシャッターはずっと閉まったまま。
35年ぶりに“営業”を再開したわけですが、店内をどのように工夫したのか。部屋の中は当時の状況がかなり残っていまして、保存状態がよいものについてはそのままにしました。例えば、国鉄時代の電話番号が書かれた紙を貼っていたり、雑誌が置いてあったり。また、きっぷ売り場のところに、テーブルやイスを設置して、そこでも飲食を楽しめるようにしました。
土肥: カウンターには、放射線状にいくつもの穴が開いたアクリル板が設置されていますよね。これも当時のまま。「東京まで、大人1枚」「ありがとうございます」といったやりとりがあったかと思うのですが、利用者は「外」から。しかし、このカフェに入ると「内」から。つまり、駅員さんの目線で景色を楽しむことができるわけですね。
佐々木: はい。ということもあって、駅員さんのコスプレをされた人がたくさん来られまして。鉄道ファンと思われる人は、きっぷ売り場の席に座っていました。
土肥: 環境は整っているので、あとは頭の中で想像していたかもしれません。「はい、東京駅まで大人1枚ですね。料金は……」といった具合に。ところで、カフェの利用者はどのような状況でしたか?
佐々木: カフェをオープンする前、鉄道を利用する人以外に、駅を訪れる人はほとんどいませんでした。閑散としていたわけですが、カフェの利用客数は想定以上に多かったんですよね。具体的な数字を申し上げることはできないのですが、土合駅の1日の乗降者数よりも多い。
お客さんが途切れることも少なかったので、「事業を継続できる」と判断しました。そして、8月8日に営業を再開しました。ちなみに、グランピングも「事業を継続できる」と判断しまして、今秋オープンを目指して、いま準備を進めているところです。
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