「副業・兼業」礼賛の時代へ “自由な働き方”に隠れた、企業の責任放棄:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/4 ページ)
コロナ禍を機に「副業人材」を公募する企業が増加している。働く人にメリットがある一方で、企業にとって都合のいい働かせ方となる可能性も。ガイドラインでは労働時間を自己申告で管理し、上限を過労死ラインとしている。雇用側の責任を放棄できるやり方は見直すべきだ。
ついに、来るべき時が来てしまいました。
予想よりかなり急ピッチで。というか、コロナ禍がなければ来なかったかもしれない、“会社員消滅時代”の到来です。
――「法人の頭は残すけど、胴体はその都度とっかえひっかえするから、胴体として使ってもらうために自分でスキルアップしてね!」と言っているのです。副業容認、フリーランス、リカレント教育などは、全て“そこ”に向けたプロセスです。
会社側は「長時間労働」も「非正規」という雇用形態もない「働かせ方」を進めますが、それは「長時間労働がなくなる」という意味でもなければ、「非正規という不安定な雇用形態」がなくなるわけじゃない。全てが「自立」という美しい2文字を脅迫的に使うことで、まやかしの「光」が待ち受けているのが「令和の時代」です――
これは平成最後に書いたコラム(「会社員消滅時代」到来? 令和時代の“自由な働き方”に潜む落とし穴)で、2016年8月に政府が公表した「『働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために』懇談会 報告書」について言及した一部ですが、コロナ禍でこの中の「副業人材」を求める企業が急激に増えているのです。
3月にはヤマハ発動機、5月にはライオン、7月にはヤフー、ユニリーバ・ジャパンが相次いで副業人材を公募。今後もダイハツ工業をはじめ、大手企業を中心に副業人材を求める企業が拡大するとされています。
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