“ピーク比75%減” 渋谷ハロウィンから考える「コロナと東京一極集中」:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
数年前から慣例化している「渋谷ハロウィン」であるが、今年の渋谷ハロウィンはコロナ感染リスクが高く、区長直々の自粛呼びかけの効果もあり、例年と比較すれば相当低い人出となっていたという。コロナ禍で人の動きが抑制された渋谷ハロウィンから視点を広げて、国内に目を向けてみよう。コロナ禍で人々の動きは抑制されたのだろうか。
数年前から慣例化している「渋谷ハロウィン」であるが、今年の渋谷ハロウィンはコロナ感染リスクが高く、区長直々の自粛呼びかけの効果もあり、例年と比較すれば相当少ない人出となっていたという。
検索ボリュームから特定キーワードの検索人気度を数値化するGoogle Trendsデータによれば、今年の「渋谷ハロウィン」のキーワード検索人気度は28ポイントと、2014年以来の低水準となった。ピーク時の18年と比較すると、その関心は約4分の1まで落ち込んでおり、一定の自粛効果があったことがうかがえる。
それでは、コロナ禍で人の動きが抑制された渋谷ハロウィンから視点を広げて、国内に目を向けてみよう。コロナ禍で人々の動きは抑制されたのだろうか。
コロナで東京一極集中が解消?
先週に総務省統計局が公表した「住民基本台帳人口移動報告」によれば、20年9月の都道府県間の移動者数は、前年同月比6.0%減の15万7844人だった。三大都市圏に分類される東京圏、大阪圏、名古屋圏で比較すると、コロナ禍における転入減の影響は、とりわけ東京圏で色濃く現れている。
19年9月に3万2080人だった東京圏の転入者が、20年9月には2万7629人へ減少。一方で、転出者は、19年9月の2万5906人から1500人近く多い2万7542人へ増加した。19年9月の東京圏の転入出による人口は6174人増であったが、今月分は87人増にとどまっており、日本人に限ればマイナス56人となっている。
名古屋圏、大阪圏でも同様に転入者が減少しているものの、転出者数の減少がこれを補った結果、足元では19年対比でどちらも対前年同月比で小幅に増加している状態だ。
19年対比でみると、とりわけ就職活動の時期に差し掛かる20代の転入超過数の減少が著しく、若年層が東京に集まらなくなっている様子がうかがえる。また30代と40代については転出超過基調となっており、東京を離れる動きがコロナ禍で加速していることが分かる。
これは、ある意味では政府の目標の1つである、「東京一極集中」の解消に寄与する動きではないだろうか。
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