2015年7月27日以前の記事
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ビジネスパーソンのためのSaaS KPI入門SaaSビジネスで用いられるARR、ARPU あなたは説明できますか?(2/5 ページ)

ビジネス用語として定着した“SaaS”ですが、このビジネスを理解する上で欠かせないのが「SaaS KPI」と呼ばれる指標です。この記事では、SaaSビジネスにおいて、国内トップランナーであるfreeeの決算説明資料を基に、ビジネスパーソンが最低限押さえておきたいSaaS KPIの解説を行っていきます。

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疑問1――なぜ、SaaSでは独自のKPIが使われるの?

A SaaSは予見可能性が高い、ストック型ビジネスだから

 SaaSは、BtoB向けの月額制サブスクリプションモデルであることが一般的です。解約されない限りにおいては、継続的に収入が積みあがっていくため、従来の売り切り型(一回きりの収益発生)のビジネスとは性質が異なります。

 売り切り型のモデルでは、将来的に売れる確約がなく、「過去に実現した売り上げ」で語られることが多くなります。一方SaaSビジネスにおいては、契約が続く限りにおいては先々の収益が確約されることになるため、「その時点において、定常的な収益がどのくらいあるか」を示すRecurring Revenueという考えが用いられます。

 サブスクリプションサービスという性質上、恒常的な収益を示すMRR(Monthly Recurring Revenue)もしくは、ARR(Annual Monthly Recurring Revenue:期末時点のMRRを12倍した数値)がSaaSビジネスの規模を図る上で最も重要といえます。


SaaS上場企業 ARRランキング 2020/11(企業データが使えるノート)

 freeeも決算説明資料の冒頭、キースライドとしてARRを示しています。直近四半期ベースで85.5億円という水準に加え、前年同期比ベースで49%の伸びを遂げていることが分かります。成長著しいSaaS企業においては、このARRの絶対額、そして成長率がどのくらいの水準であるかという点に注目が集まります。


freeeも決済資料の冒頭にARRを示している(freee決算資料より)

freee原さんの視点

 実際に“モノ”があるようなビジネス(ライセンス売り切り型のソフトウェア等も含む)は、商品の受け渡しによって初めて売り上げが発生するため、基本的には過去を振り返ります。

 一方で、SaaSは契約が継続する限り売り上げが計上され続けるため、将来受け取る売り上げの予見可能性が高いといえます。投資家は将来の成長に対し投資を行いますので、SaaSにおいては、会計上の売り上げの先行指標であるARRを基に議論をすることが基本となります。freeeの決算説明資料でも、主要KPIとして示しています。

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