2015年7月27日以前の記事
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えちごトキめき鉄道の鳥塚亮社長と沢渡あまねが語る「地方企業の問題地図」 Uターン、Iターンが失敗する構造的問題地方企業の問題地図 【前編】(5/5 ページ)

「地方企業の問題地図」――。千葉県のいすみ鉄道を経営危機から救い、現在は新潟県のえちごトキめき鉄道の社長を務めている鳥塚亮氏と、現在浜松市に身を移して組織改革・ワークスタイル変革の専門家として活動している沢渡あまね氏に対談してもらった。前編では、鳥塚氏と沢渡氏が自らの経験から感じている、地方企業や行政の問題点などについて考える。

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地方自治体は普通の企業とは逆の構造

鳥塚: 地方は公務員が多くて、行政主導型ですよね。特に田舎の行政は、現場の声がトップまで上がりません。だいたいが課長止まりで、部長は知らない。部長が知っていても、副市長は知らない。知っていても議会にどう説明しようかといろいろなことを考えて、上司には報告しないのです。

 この構造は、普通の企業とは逆です。企業であればトップだけが重要な情報を知っていて、部下に余計なことを教えないことが多いですが、田舎の行政はトップが何も知らない。第3セクタの取締役には役場の幹部がいますが、担当者と事前に打ち合わせたことを知らないケースもよくあります。

 そういう中で、えちごトキめき鉄道の株主でもある新潟県妙高市では、企画や観光の関係の部署にいる職員が、月の3分の1は東京や大阪を飛び回っています。ひとり親の家族の移住を支援するなどユニークな施策も打ち出していますし、市長がトップダウン型ということもあって、非常に意思疎通ができています。だから、一概に行政がダメだということではありません。妙高市は人口が3万人余りなので、規模の大小もあまり関係ないと思っています。

沢渡: 神戸市はサイボウズと業務改善の事業提携だけでなく、人事交流も進めています。行政も外との人材交流によって、地域を変えようとしています。行政は民間企業の当たり前を、地方の企業はグローバルレベルでの改善の手法を取り入れることが、これから大事になってくるということですね。(後編に続く)

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神戸市はサイボウズと業務改善の事業提携だけでなく、人事交流も進めている(神戸市のWebサイトより)
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