なぜ? 首都圏で「通勤向け特急」が増えている背景:JR東が特急「湘南」を運行開始(3/5 ページ)
JR東日本が、通勤向けの特急に力を入れている。すでに常磐線の「ときわ」、高崎線方面「スワローあかぎ」、中央・青梅線方面の「はちおうじ」「おうめ」が運行されているが、来春のダイヤ改正では、特急「湘南」が東海道本線方面にデビューする。これら通勤向け特急が運行される背景を考えてみたい。
「スワローあかぎ」の登場と「えきねっとチケットレスサービス」
従来の「通勤ライナー」は、乗車時に乗車整理券を購入して自由な席に乗るというシステムで、整理券は定員分のみ販売されていた。しかし座席を事前に予約したい、他地域からの利用者でも普通の特急として利用したいという要望も生まれてくる。そこへ、スマートフォンなどでの列車予約を簡単にできる状況が到来した。
これらの要望に応えられるのは、車両を変えるときくらいしかない。そんな中、列車の車両は老朽化が進んでいた。だからこそ、車両を新しくする際にリニューアルするという考えも必然的に生まれた。
短距離特急として通勤客の支持を得ていた「あかぎ」や、通勤ライナーとして人気があった「ホームライナー鴻巣」が一つになり、平日は「スワローあかぎ」となった。土休日には「あかぎ」も残されている。
この「スワローあかぎ」の開始時に導入したのが、「スワローサービス」だ。交通系ICカードによる定期券を利用していることを前提として、特急券だけを事前にスマートフォンなどで購入できる。車内での特急券購入は事前購入よりも高く設定されているが、券売機で指定券だけ購入した場合は事前予約と変わらない。
このシステムが導入されたことで、気軽に帰宅時に着席が保証されることになった。
このシステムは、常磐線の特急で使用されていた651系車両に手が加えられて実現した。それもあり、同様のサービスが「えきねっとチケットレスサービス」として、「ひたち」「ときわ」にも広がった。
「通勤ライナー」から特急への変更に対し、単なる値上げだという意見も当然ある。確かに、増収策である点は否定できない。しかし、一部座席指定制の定員制から、全座席指定制に変え、車両の質も向上させている事実から考えると、特急料金としては比較的安く設定されているとも考えられる。
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