なぜ? 首都圏で「通勤向け特急」が増えている背景:JR東が特急「湘南」を運行開始(4/5 ページ)
JR東日本が、通勤向けの特急に力を入れている。すでに常磐線の「ときわ」、高崎線方面「スワローあかぎ」、中央・青梅線方面の「はちおうじ」「おうめ」が運行されているが、来春のダイヤ改正では、特急「湘南」が東海道本線方面にデビューする。これら通勤向け特急が運行される背景を考えてみたい。
JR東日本は通勤特急の時代へ
一方、中央線特急のE351系やE257系はE353系に置き換えられ、「あずさ」「かいじ」だけでなく、「はちおうじ」「おうめ」といった新しい列車が登場した。「はちおうじ」は東京〜八王子間、「おうめ」は東京〜青梅間の列車だ。「中央ライナー」「青梅ライナー」を置き換えた格好だ。
そして来春、「湘南ライナー」を始めとする東海道本線方面のライナー列車は、特急「湘南」へと変わる。
「湘南ライナー」は、数ある通勤ライナーの中でも人気の高い列車である。しかし使用されていた車両の多くが、老朽化した185系や、2階建て車両ながらもボックスシートの215系となっている。185系は国鉄時代の車両で、その全車両を中央本線や房総方面への特急車両だったE257系に置き換えるのを機に、「湘南ライナー」は特急「湘南」へと格上げされるのである。
中央本線に新車が入り余剰となったE257系が、今年の3月に「踊り子」へ導入された。そのタイミングで「えきねっとチケットレスサービス」への対応、湘南や伊豆の海をイメージした座席への変更、充電用コンセントの設置といった改造を行った。来春にはすべての車両が置き換わり、「湘南」はこの車両を使用する。
朝の時間帯は、小田原や平塚から品川や東京、新宿へ向かう列車が運行され、夕方や夜間は東京や新宿から小田原へと向かう列車が運行される。東京発のダイヤは、18時00分から23時00分まで毎時00分と30分で、利用しやすい。また大船から国府津までの停車駅は、細かく設定されている。
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