”条件外の人”でも運命を感じた! 政府支援の「AI婚活」、その実力は?:救世主(5/5 ページ)
「彼氏や彼女がいない人が増えている。若者の間で草食化が進んでいる」――。このような声が広がるなか、AIやビッグデータを活用して、政府は婚活支援事業に取り組むという。すでにAIマッチングを導入している自治体では、どのような”結果”が出ているのだろうか。取材したところ……。
AI×コンシェルジュの掛け合わせで本領発揮
膨大なユーザーの中から、自分では気付けない潜在的な相手を見つけてくれるのがAIの最大の利点。だが、平田氏いわく「AIだけではマッチング率の向上は期待しづらい」とのこと。
「条件を無視するAIのレコメンドには、『絶対に交際に至らないだろう』という明らかに違和感がある相手も含まれます。そういった方をダイレクトに勧めてしまうとAIへの信頼度が下がり、マッチング率の向上も見込めません。当社では、AIが選んだお相手をコンシェルジュがチェックして、明らかにNGだろうという方を省いたうえでご本人にお勧めする二段階の体制を取っています」(平田氏)
コンシェルジュがマッチングの可能性が高い候補者を絞り込んでも、まだ課題は残っている。
「婚活は感情を大きく揺さぶられる活動であり、機械的に行うものではありません。いくらAIに勧められても、条件に一致しない相手に会おうと思えない方も多くいます。そのような方が『一度、会ってみよう』と心変わりするのは、コンシェルジュのプッシュがあるから。感情を込めて説得するのは、AIでは難しいと思います」(平田氏)
今後、AIの精度がより向上しても、「AIだけでマッチング率や成婚率が劇的に向上することはないだろう」と平田氏は主張する。いつの時代も、人の心を動かすのは「人」ということなのだろうか。
来年以降、自治体によるAI婚活導入の動きが加速すると予想される。どんなアルゴリズムを採用するかも慎重に検討すべきだが、彼らの交際や成婚を後押しするキューピッドの存在があってこそ、AIは本領を発揮することも覚えておくとよさそうだ。
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