御殿場市の「一見さんお断り」は、ビジネスとしてアリかナシか:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
静岡県御殿場市が新型コロナの感染を懸念する飲食店に配布した「一見さんお断り」のポスターが波紋を呼んでいる。首都圏からやって来る顧客を断る内容だが、こうした行動はビジネスとして妥当なのか。
静岡県御殿場市が新型コロナウイルスの感染を懸念する飲食店に配布した「一見(いちげん)さんお断り」のポスターが波紋を呼んでいる。緊急事態宣言が発令された1都3県からやって来る顧客の来店を断る内容だが、ビジネスとして見た場合、こうした判断は妥当なのだろうか。
法律上、顧客を選別することは問題ではない
御殿場市は市内の飲食店に対して「緊急事態宣言発出に伴い、新型コロナウイルス感染防止対策のため、一見さんお断り」と記載されたポスターを配布した。ポスターの文言には「主に該当地域からお越しのお客様」と書かれていたことから、御殿場市には多くの意見が寄せられた。中には「差別だ」として強く抗議する内容もあったという。
今回のポスターは飲食店と御殿場市の連名となっているが、基本的に御殿場市が作成して配布したものである。自治体が特定地域から来る顧客の来店を拒否するポスターを作成することの是非については、ビジネスとは別の視点が必要となるかもしれない。だが、あくまで飲食店のビジネスに論点を絞った上で、最初に結論を言ってしまえば、顧客を選ぶのは店側の自由ということになる。
法的に見た場合、飲食店が顧客を選別すること自体に何ら問題はない。もし飲食店が顧客を選別できないことになると、会員制のクラブや紹介が必要な料亭などはそもそも運営できなくなってしまう。だが、顧客を選別できる、あるいは選別する業態は少数に限られるのが現実だ。
一般的に、顧客を選別する業態といのは、単価が高いサービスを提供しているケースが多い。単価が高いサービスの場合、十分に納得した顧客を選ばないと価格への不満から顧客との間でトラブルが発生しやすくなる。こうした事態を防ぐため、単価が高い一部の事業者は会員制や紹介制(いわゆる一見さんお断り)を採用している。
ただ、店側が顧客を選別すると、顧客の間口を自らせばめてしまう。顧客選別を行う場合には、限定された顧客でも十分に利益を確保できるよう、慎重に収益性を見極める必要がある。
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