2015年7月27日以前の記事
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コロナで日経平均が3万円を超えても安易にバブルといえない理由古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(4/4 ページ)

日経平均株価指数は8日、2万9388円50銭を記録し、バブル期の1990年8月から約30年6カ月ぶりの高値を記録した。しかし、日経平均株価の仕組みからして、最高値である「3万8957円44銭」はいずれは更新されてしかるべきだ。1989年の日経平均と、2021年における日経平均は全く別の指数だからだ。

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「コロナ相場」というよりも「中央銀行相場」

 そうはいってもやはり、日経平均PERがここ数十年でかなり高い位置にあることは事実であり、これがコロナ禍中における金融政策ベースでの相場上昇という観測もある。したがって、株価動向は企業そのものというよりも、各国の中央銀行に依存している。

 中央銀行のスタンスとしては、緊急状況たるコロナ禍に収束の兆しが見えてくれば、無秩序なインフレーションの発生を防ぐために、これまでの緩和基調を縮退していく「テーパリング」にかじ切りしていくとみられる。今の相場はこの動きに耐えられない可能性が高い。そう考えると足元の相場環境は「コロナ相場」というよりも、「中央銀行相場」と認識した方がより正確なのかもしれない。

 「もうはまだなり、まだはもうなり」という相場格言がある。これは、「今に相場が崩壊する」という懐疑論が出るうちは強気の相場が継続し、楽観ムードが大勢を占めたところが大天井となる経験則だ。

 「書店で投資本が飛ぶように売れだした」「資産運用に全く興味がないはずの家族から株の話を聞くようになった」。このような現象が身の回りで発生し始めてきたら、相場の波乱は近いのかもしれない。

筆者プロフィール:古田拓也 オコスモ代表/1級FP技能士

中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。

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