森喜朗氏、菅義偉氏から逆説的に学ぶ、正しい謝り方:“いま”が分かるビジネス塾(2/3 ページ)
森喜朗会長や菅義偉首相の「謝り方」について、厳しい批判の声が飛び交っている。謝罪しているのに、なぜその意図が伝わらないのか。ビジネスパーソンにとって、正しい謝り方は……。
実はビジネスパーソンも同じ失敗をしている
菅氏の場合、ただ原稿を読み上げた可能性も高いので、書いた人は別人かもしれない。しかしながら、菅氏が考えたものであれ、他人が書いたものであれ、相手に対して良い印象が伝わらなければ謝罪しても意味がない。このような謝罪を台無しにしてしまう行為は、政治家だけでなく、多くのビジネスパーソンも同じ轍を踏んでいる。
仕事上のトラブルにおいて一言、「私の不注意でした。大変、申し訳ございません」と謝罪すれば何の問題もなく解決するところを、この一言が言えないことで話がこじれるケースは多いのだ。以前、ある企業が顧客とトラブルになり、顧客が経緯をSNSで訴えたところ、企業に批判が殺到するという出来事があった。
このケースは明らかに企業側に非があると思える内容だったが、企業がWebサイトに出した声明は、被害を受けた顧客に対してではなく、ネットを見た他の顧客に対して「ご心配をおかけしている」と謝罪する内容だった。つまり、被害を受けた顧客を完全に無視したばかりか、被害者であるかのように振る舞ってしまったのである。当然のことだが、これは火に油を注ぐ結果となり、ネットではさらに批判が殺到するという悪循環になった。
相手に伝わらない謝罪は、たいていの場合「自分は悪くない」「圧力で謝らせられている」というニュアンスが全面に出てしまっている。謝罪の問題は以前もこのコラムで取り上げたことがあるが、こうなってしまう最大の原因は高すぎるプライドである(関連記事)。
自身に対する過剰なプライドがあると、ミスを絶対に認めたくない心理が働き、逆に相手を怒らせるような表現になってしまう。もしかすると過剰なプライドの背後には「自信のなさ」という隠れた心理があり、ミスを認めると、自分にダメ出ししてしまう恐怖感があるのかもしれない。
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