なぜフェイスブックが「いじめっこだ」と世界から叩かれているのか:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
米フェイスブックが強大な影響力を批判されている。最近はオーストラリアでニュース記事の利用に料金を支払うよう求められ、強硬措置を取った。一方、グーグルは記事に対価を支払う新サービスの契約を各国で進める。劣勢のフェイスブックの今後の対応は?
ニュース記事に「料金」を支払わせる法規制へ
オーストラリアのスコット・モリソン首相は2月19日、フェイスブックのコンテンツにニュース記事などを使う際に料金を支払わせる法案を提出すると語った。
実はこの議論は2017年から始まっている。当時、オーストラリア競争・消費者委員会(ACCC)は、フェイスブックやグーグルなどのオンラインプラットフォーマーがメディアのビジネスを妨害しているのではないかとして、公正な取引を目指して規制が必要との議論に乗り出している。
19年には、プラットフォーマーを監督する組織を作るとオーストラリア政府は主張。しかし、政府側もプラットフォーマーともめるつもりはなく、ACCCと一緒に自主的な規制を行うよう求めた。しかし20年、ACCCはプラットフォーマーが規制に動く可能性は低いとして、法規制が必要だとの結論になった。
そして20年7月、独禁法にからむ法案を作成し、プラットフォーマーがオーストラリアのメディアのコンテンツを提供(リンクでの表示も含む)する場合にメディア側に支払いをするよう求めた。
するとフェイスブックとグーグルはこれに反発。特にフェイスブックは「オーストラリアのメディアのコンテンツ掲載を禁止にするかもしれない」と主張するのだが、この「挑発」に政府やメディアは激怒する。そこから泥仕合の様相になった。政府は、オーストラリアのメディアのニュースコンテンツを禁止にすれば、フェイスブックは「弱体化する」と反論。さらに、12月には議会で、ニュースメディアがコンテンツに対する支払いを求めた場合にプラットフォーマーが交渉に応じることを義務付ける「新ニュースメディア取引法」が提出された。現在も審議が続いているが、超党派で支持されているために、可決する可能性が今のところ高い。
それに反応したグーグルは、この法案が可決されればオーストラリアから撤退せざるを得なくなると見解を発表している。フェイスブックに至っては強行路線に出た。2月18日、オーストラリアのユーザーが、フェイスブック内でニュースメディアを提供するコンテンツを見られないようにする措置を取った。
現在、人口2500万人のオーストラリアでは、1700万人ほどがフェイスブックを利用しているが、その人たちが国内ニュースメディアの記事にアクセスできなくなったのである(現在はアクセスを再開させた)。
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