1年でユーザー数4倍に! eスポーツプレイヤーを育成する「ゲーマーズクラス」の戦略:デンマーク発(4/5 ページ)
デンマーク発の「GamerzClass(ゲーマーズクラス)」は、eスポーツに特化したプレイヤー育成事業を手掛ける。創業3年に満たないスタートアップにもかかわらず、ユーザー数は400%以上に急増している。多くのユーザーを引きつけたのはなぜなのか。同社でCMOを務めるヨナス・ゴスバック氏に戦略を聞いた。
コミュニティを通じて「孤独」の課題にアプローチ
動画レッスンと同様に彼らが注力しているのが、コミュニティの運営。ゲーマーに特化したボイスチャットツール「Discord(ディスコード)」を通じ、有料会員のプレイヤー同士が交流できる場所を提供している。特に初期段階はこのコミュニティ機能が大きな役割を果たしたという。
「事業を拡大するにあたり、どのようなコース、レッスンを提供するべきかについて、コミュニティー内で多くの質問を投げかけました。そして、返ってきたユーザーからの声に基づいて私たちはレッスンを形作ってきました。今では数千人規模のコミュニティーに成長し、ここでの交流もユーザーにとって、サービスを利用する魅力のひとつになっていると思います」(Rosbech氏)
続いて、Rosbech氏は業界内で問題視されているeスポーツプレイヤーのメンタルヘルスの課題についても触れた。
「昨年、私たちがレッスンを提供するCounter-Strikeの世界最高チームAstrological(アストロジカル)は、精神的ストレスが原因ですべてのトーナメントから撤退しました。業界でプロを目指すようになると1日12時間、週6日など長期間ゲーム漬けになり、過度のストレスを抱えたり、燃え尽き症候群に陥ったりするプレイヤーが少なくありません」(Rosbech氏)
海外メディアでは、ゲーマーのメンタルヘルスについて警告するような記事も見られ、eスポーツのプロプレイヤーもSNSなどを通じて、適切なバランスでプレーするよう呼びかけている。
「ゲームプレイヤーの中には、孤独感を強く持っている人がいます。うつ病や自殺の大きな原因となる孤独を避けるには、コミュニティーの存在が欠かせません。私たちはプレイヤーのスキルアップのみならず、業界のメンタルヘルスの課題に立ち向かい克服へ導きたいと考えています」(Rosbech氏)
関連記事
- 学生需要は急落したのに、なぜカシオの「電子ピアノ」は売れているのか
新型コロナの感染拡大によって、多くの企業が売り上げを落とした。そんな中でも、「あれ? このアイテムが売れているの?」と感じる商品がある。電子ピアノだ。カシオ計算機の電子ピアノは苦戦していたのに、なぜヒットしたのか。その秘密に迫ったところ……。 - コロナ禍で売上は1.5倍! 耳をふさがない「骨伝導ヘッドフォン」は何がスゴいのか
新型コロナの感染拡大を受けて、宿泊業や外食産業は大きくダメージを受けているが、そんな中でも前年比で売り上げを伸ばしているアイテムもある。「骨伝導ヘッドフォン」だ。なぜ、この商品が売れているのかというと……。 - 入居待ち6500人! デンマーク発のコンテナ住宅が熱望される理由
デンマークの首都コペンハーゲンに、6500人もの学生が入居待ちをしている大人気の賃貸住宅が存在する。コンテナを使った集合住宅だ。なぜコンテナ住宅に住みたいと思っている学生が多いのかというと……。 - 「男女混合フロア」のあるカプセルホテルが、稼働率90%の理由
渋谷駅から徒歩5分ほどのところに、ちょっと変わったカプセルホテルが誕生した。その名は「The Millennials Shibuya」。カプセルホテルといえば安全性などを理由に、男女別フロアを設けるところが多いが、ここは違う。あえて「男女混合フロア」を取り入れているのだ。その狙いは……。 - 売上5倍! 経営難に陥っていたキャンプ場を、どうやって再生させたのか
キャンプ場が盛り上がっている。現在は「第二次ブーム」でたくさんのお客が詰めかけているが、その一方で経営が苦しいところも少なくない。そんな中で、赤字に陥っていたキャンプ場を再生した会社がある。どうやって再生させたのか、会社の専務取締役に話を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.