1年でユーザー数4倍に! eスポーツプレイヤーを育成する「ゲーマーズクラス」の戦略:デンマーク発(5/5 ページ)
デンマーク発の「GamerzClass(ゲーマーズクラス)」は、eスポーツに特化したプレイヤー育成事業を手掛ける。創業3年に満たないスタートアップにもかかわらず、ユーザー数は400%以上に急増している。多くのユーザーを引きつけたのはなぜなのか。同社でCMOを務めるヨナス・ゴスバック氏に戦略を聞いた。
コロナ禍が追い風になり、1億円超えの資金調達も
同社にとって、20年は思ってもみない展開となった。パンデミックによりゲーム人口、プレー時間が爆増したことで、ユーザーは400%以上に急上昇。100万ユーロを超える資金調達も実施し、イギリス人やハンガリー人など国籍を越えた16人の正社員が所属する組織となった。
「当社にとってはパンデミックは、まさに追い風でした。想定していた事態ではありませんでしたが、スピード感のある行動によってチャンスをつかむことができたと思います。別の側面でいえば、設立わずか2年の企業が新事業で成功するという夢を売ることもできたのではないかと」(Rosbech氏)
北欧・バルト海地域とシリコンバレーをつなぐビジネスコミュニティーSilicon Vikingsに、デンマークでもっとも有望なスタートアップとして表彰された(写真中央がCEOのビクター・フォルマン氏 写真提供:ゲーマーズクラス)
投資を受けた資金の使い道として、Rosbech氏は最高峰のプロプレイヤーの獲得とプラットフォームの開発を挙げた。
「ユーザーに最高の体験を届けるには、世界的に認められたプロプレイヤーの存在が必須です。日々情報が更新されているような新しい業界であり、私たちは毎日、未知の才能を世界視野で探し求めています。同時にプラットフォームも進化しており、最近AIを導入しました。新規ユーザーに対して、適切なレコメンドをするために役立っています」(Rosbech氏)
現在、同社が契約しているプロプレイヤーは45人。彼らにとって新たな収益源になるのはもちろん、個人ブランディングを強化できるメリットもある。
「今後は、プロプレイヤーに直接やり取りして学べるコーチングをゲーマーズクラスで独占的に展開するほか、広告事業やスポンサーの獲得にも注力するつもりです。0から100まで体系的に学べるeスポーツの大学として、サービスを育てていきます。そして、利益の追求にとどまらず、プレイヤーが抱える孤独の問題を解決できるよう尽力します」(Rosbech氏)
スタートアップならではのスピード感で次々と戦略を実行していく。すでに、デンマークに拠点を構えるゲーミングデバイス専門ブランド、SteelSeriesやRed Bullなどとスポンサー契約を締結しており、“やり手”の印象が強いが、業界を良くしていきたいとの強い思いも感じ取れた。
日本でも同サービスは利用できるが、現状、日本語字幕が付いたレッスンはなく、日本人ユーザーは限られているとのこと。今年中、あるいは来年にはアジアに焦点を当てることを視野に入れていると語ったRosbech氏。本格的な日本進出は間もなくかもしれない。
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