地元の小さな店を“オンライン”にする、米国スタートアップ3選:大資本VS. ローカル(2/4 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、ECサイトにチカラを入れる企業が増えてきた。しかし、大企業であればすぐに対応できても、小さな会社は違う。限られたリソースの中で対応するのは大変だが、そうした課題に対して支援する動きが出てきた。どういうサービスかというと……。
ローカルな街に特化した「In Stock」
- 提供サービス:ローカルな特定の街に特化した「ECサイト運営」+「翌日デリバリー」サービス
- 地域:米国サンタクルーズ市
- 設立:2020年
- 投資家:Y Combinator(ワイコンビネーター)など
ECサイトを作ることは日本でも米国でもそんなに難しいことではなくなってきています。けれど、いざローカルな小規模店舗がECサイトを作っても、集客力や在庫力、配送力などの面でAmazonのような大型ECモールと勝負することは簡単ではありません。
でも、広い地域でAmazonと戦えないとしても、一つの街に特化したら商機があるのでは? というコンセプトを掲げるのがインストックです。インストックはローカルな街に特化し(例えばサンタクルーズ市など)、その街にある店舗をオンライン化して取りまとめることで、消費者体験を向上させています。
個々の店舗は小さくても、街中の小規模店舗が連合すれば、あたかも仮想的な地域商店街のような姿になり、地元住民への集客力が確保できます。また限られたエリアに実店舗が集中するため、配送業務が効率化され、無料での翌日配送が可能となりました。
インストックは「10分間で簡単にECサイトを開設可能」というインスタントカートの基礎的な要件はきちんと提供しつつ、「地元の消費者へのリーチ」「決済」「物流」までをワンストップで小規模店舗に提供しているのです。
単にECサイトを開くことができるだけでなく、地域連合を組むことで、オンライン上で大手に対して戦える仕組みを提供していることがユニークです。
同社は2020年創業、社員2人と非常に若い会社です。展開都市もサンタクルーズ、サンフランシスコなど限定的。今後、社会の支持を得てカバーエリアを拡大することができるかが注目されます。
関連記事
- サブスクを成功させるか、失敗させるか、キモは「3+1」
多くの企業がサブスクビジネスを始めている。当初の目標を達成できずに苦しんでいるところも多いようだが、どこに問題があるのか。成功事例をひも解くと、共通点が見えてきて……。 - パナの高級トースター「ビストロ」は、なぜ2倍ペースで売れているのか
パナソニックが高級トースター「ビストロ NT-D700」を発売した。価格は3万円近くするのに、前年比2倍ペースで売れているという。従来機と比べて、デザインが大きく変わったビストロはなぜ売れているのか。担当者に聞いたところ……。 - 7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。 - 「世界一勤勉」なのに、なぜ日本人の給与は低いのか
OECDの調査によると、日本人の平均年収は韓国人よりも低いという。なぜ日本人の給与は低いのか。筆者の窪田氏は「勤勉さと真面目さ」に原因があるのではないかとみている。どういう意味かというと……。 - コロナ禍で売上は1.5倍! 耳をふさがない「骨伝導ヘッドフォン」は何がスゴいのか
新型コロナの感染拡大を受けて、宿泊業や外食産業は大きくダメージを受けているが、そんな中でも前年比で売り上げを伸ばしているアイテムもある。「骨伝導ヘッドフォン」だ。なぜ、この商品が売れているのかというと……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.