ZOZOGLASSの予約数は50万件 大手ファッションECが続々コスメ事業に参入する狙い:進む化粧品業界のDX化(2/4 ページ)
ZOZOTOWNは3月18日、コスメ専門モール「ZOZOCOSME(ゾゾコスメ)」をオープンした。ZOZOはこれまでも化粧品を取り扱ってきたが、モール開設で一気にブランド数を増やし、500ブランド以上をそろえる。
化粧品販売のデジタルシフト、SNSからそのままオンライン購入
コロナ禍でもファッションECは好調だ。ZOZOが1月末に発表した21年3月期第3四半期決算では、売上高が1084億8000万円(前年同期比18.1%増)、営業利益が337億8500万円(同74.3%増)、商品取扱高が3042億4300万円(19.8%増)と大幅な増収増益だった。商品取扱高は四半期で過去最高実績だったが、この要因には新型コロナの影響を受けたアパレルブランドのデジタルシフトがある。
一方、アクティブ会員1人あたりの年間購入金額は4期連続で落ち込んだ。購入点数はほぼ横ばいで、新たなカテゴリーの商品投入は必須だったといえる。「ZOZOTOWN」はユーザーの7割ほどが女性で、女性アクティブ会員は533万人に上る。その女性会員らのコスメの平均年間支出は8万2200円と一般平均の2.2倍で、コスメECの利用経験も73%以上と高かった。これまでもユーザーからコスメを求める声があり、ZOZOの伊藤正裕COOは「コスメ(カテゴリーの拡張)はまさに待望だった」と語る。
「マガシーク」「ショップリスト」も、ユーザーのコスメへの関心をカテゴリー拡充の理由としており、新客だけでなく既存客の客単価向上も担う位置付けだ。
化粧品メーカーにとってもデジタルシフトは急務だ。新型コロナの影響を受け、百貨店カウンターでの美容部員によるタッチアップ自粛は今も続く。そのためユーザーはYouTubeやTwitterなどの使用レビュー、口コミを頼りに商品を選び、そのままオンラインで購入するケースが増えた。JCBとナウキャストが算出した消費動向指数「JCB消費NOW」によると、昨年12カ月でアパレルと医療品・化粧品は、対面消費の減少分を上回る伸びをEC売り上げで達成している。
一方で、化粧品ブランドの自社ECは課題が多い。特に集客はブランドにとって大きな課題で、ユーザーにとっても普段使わないサイトへのユーザー登録は手間となる。
「ZOZOTOWN」は女性アクティブ会員が533万、「マガシーク」は会員数300万人以上、「ショップリスト」は年間ユニーク購入者178万人の会員を保有する。「ZOZOTOWN」は化粧品のターゲット層であるジェネレーションZ世代、ミレニアル世代がボリュームゾーンで、Zホールディングスのヤフージャパン、LINEからの集客も検討するなど集客面で魅力が大きい。さらに物流やカスタマーセンターも整い、手数料を払ってでも出店するメリットが大きい。
化粧品メーカーにとってファッションECは魅力的な売り場に違いなく、「ZOZOCOSME」には自社ECを強化してきた資生堂やマッシュビューティーラボ、ELCジャパン傘下のブランドなども入店している。
500以上のブランド誘致について伊藤COOは「ブランド側の評価は大きく2つあった。1つは若い新客との出会い。『ZOZOTOWN』はZ世代ユーザーがメイン層なので希望とマッチしていた。2つ目は『ZOZOGLASS』を始めとする新しい試みが評価を受けた」と話す。
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