コロナ禍でも「横丁」は大繁盛 昼から酒を楽しむ人が殺到する理由とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(3/8 ページ)
コロナ禍で大都市都心部の居酒屋やレストランが苦戦している。一方で、集客に成功している横丁が多い。その理由とは?
“ネオ横丁”仕掛け人の存在
渋谷駅からミヤシタパークに至るJR線路沿いの路地には、昭和から続く酒場が所狭しと連なる「渋谷のんべい横丁」がある。渋谷横丁はのんべい横丁を拡張したものにも見える。渋谷横丁は、のんべい横丁に興味があっても足を踏み入れられずにいた若者や女性でも気軽に行ける場所となっている。
渋谷横丁を経営する浜倉的商店製作所(東京都中央区)は、恵比寿駅前でシャッター街と化した公設市場を再生した「恵比寿横丁」で注目された。その後も有楽町、上野などで横丁やそれに類する産直酒場街を次々と成功に導いてきた。浜倉好宣社長は、現代の“ネオ横丁”仕掛け人として知られている。その同社がこれまでの集大成として、全長100メートル、全19店、総席数1600席の横丁を、全て直営で運営している。
恵比寿、上野などでネオ横丁を既に体験した人も、「浜倉プロデュースなら間違いない」と訪れており、集客力の高さにつながっている。
渋谷横丁の特徴は、地域ブロックごとに「北海道食市」や「沖縄食市」といった店をつくり、郷土料理、産直食材、地酒を駆使したメニューを提供していることだ。全部をはしごすれば、各地の郷土料理が、立体的に見えてくる奥深さを持つ。
コロナ禍の影響で故郷に帰れない人や旅行に行けない人にとって、渋谷横丁は東京に居ながら地元の食を味わえる貴重な場所となった。隣席との心理的距離感が近いため、見知らぬ人同士がいつしか地元の話で盛り上がって、交流・交際に発展したケースも少なからずあったかもしれない。
浜倉氏は渋谷横丁の繁盛ぶりを評価され、外食産業記者会より「外食アワード2020」外食事業者部門を授与されている。
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