中国でビジネスをしようと思ったら、あるあるのリスク:世界を読み解くニュース・サロン(4/5 ページ)
中国に進出している海外企業が、現地で混乱に陥っている。米スポーツ用品大手のナイキ、スウェーデンの衣料品大手H&Mなどは批判を浴び、SNS上でボイコット運動も。何が起きているのかというと……。
ますます不安定に
このように、中国当局の機嫌を損なうと、政府などからの批判が起きて、謝罪を要求され、さらに、ビジネスへの妨害行為、オンラインでのボイコット運動などが繰り広げられてしまう。しかも、中国政府系「環球時報」の英語版グローバル・タイムズは、今回のウイグル問題をめぐるボイコット運動は政府の指示ではなく、中国国民やネチズンなどによる反応であると報じ、政府は何ともできないと示唆している。もっとも、ここまで挙げた例を見れば、そんなことを信じる人は少ないのではないだろうか。
そして、こうした動きは今後も止むことはないだろう。中国と関わる企業は、細心の注意が必要になるはずだ。米中のデカップリング(2国間の経済などを切り離すこと)や、人権問題に敏感なバイデン政権や欧州諸国が、ますます強権的になっていく中国に対して厳しく対応し始めていることで、さらに問題が複雑になる可能性がある。
ウイグル族への人権蹂躙問題については、米国や欧州からも経済制裁が課されており、中国はすでにビジネスを行う環境としてますます不安定になりつつある。欧州による制裁は実に30年ぶりだが、現在のところはまだ象徴的な意味合いが強い。とはいえ、制裁に対して中国政府が、欧米に対する報復制裁を課したこともあって、さらに問題はエスカレートしていく可能性がある。
EUだけを見ると、20年、貿易相手国としては中国が16%に達している。EUと中国は、20年12月にビジネスを活性化させる包括的投資協定(CAI)に7年の交渉の末に原則合意したばかりだ。しかし、この合意を欧州議会が最終的に承認するかどうか不透明で、これから経済的に近くなると見られていた矢先に、制裁など緊張関係が高まることで、中国企業や個人にも影響が出てくる可能性も指摘されている。
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