西武園ゆうえんちの準備は整った しかし、足りない要素が2つある:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/7 ページ)
西武園ゆうえんちが5月19日、「新しくて古い都市型エンターテイメント」として生まれ変わる。1960年代の商店街を中心に据え、海外から認知度の高い日本発キャラクターを登場させることで、従来の「鉄道沿線遊園地」から「日本型テーマパーク」へ進化を遂げる。しかし、沿線外に訴求するには「あと2つの要素」が必要だ。
1960年代テーマパークと「ゴジラ」「手塚ワールド」
西武園ゆうえんちの新要素は3点。「夕陽の丘商店街」「レッツゴー!レオランド」「ゴジラ・ザ・ライド大怪獣頂上決戦」だ。それぞれターゲットが分かりやすい。日本のレジャー産業のターゲット「昭和後期生まれ」「平成ニューファミリー」「海外普及IP(知的財産)ファン」である。
「夕陽の丘商店街」はエントランスに直結しており、来場者の誰もが通過するところ。ここでは60年代の商店街をイメージしており、30店舗の懐かしい商店街だ。洋食屋や喫茶店で「ライス・オムレツ(オムライス)」「スパゲッティー・ナポレターナ(ナポリタン)」を提供するほか、肉屋でコロッケを買って食べ歩きできるようにした。
専用通貨(西武園通貨)があり、両替を済ませてからこの世界に入る。この仕掛けは面白い。販売単位は3,000円(百園2枚と拾園5枚)、600円(拾園×5枚)というから、レートとしては12円≒1園になる。
ちなみに65年頃のコーヒーは1杯70円だ。60年代の商店街でコーヒー1杯が840円といわれると違和感があるけれど、七拾園なら納得できる。時代を体験するにあたり、こうした演出は没入感を高める。両替は面倒だけど、それが楽しい。
ちなみに、「商店街に生活する人々」に扮したキャストは、あちらこちらでパフォーマンスを繰り広げる。お巡りさんが泥棒を追いかけ、蕎麦屋の出前が井桁ざるを高く積み上げて自転車で通り抜ける。紙芝居、バナナの叩き売りなど、さまざまなパフォーマンスが行われるという。この時代を生きてきた人々には懐かしいけれど、平成生まれの若い人はどうだろう。『ちびまる子ちゃん』に通じる世界感として楽しんでもらえるかな。
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