自粛ムードが漂っているのに、なぜ星野リゾートやドーミーインは続々と開業するのか:ホテルの行方(2/6 ページ)
新型コロナウイルス感染拡大を受けて、ホテル業界が苦しんでいる。この先、一体どうなるのか。星野リゾートとドーミーインの取り組みを見ると……。
客室を減らしても、こだわり続ける“くつろぎ”空間
夜間帯に無料で提供する「夜鳴きそば」やほぼ全施設に備える大浴場・サウナなどのサービスが好評で、リピーターや連泊する利用者が多いドーミーイン。今年に入ってから京都、長崎、神戸、池袋の4棟が開業、4月28日には金沢の新棟が営業を開始する。同ホテルを運営する共立メンテナンスの広報担当者に話を聞いた。
「“住むホテル”をコンセプトとするドーミーインでは、開発担当者ではなく、ホテルスタッフのアイデアが採用された独自サービスが多くあります。温泉感覚の大浴場や本格的なサウナ、ご当地メニューを取り入れた朝食、上下セパレートの館内着、夜鳴きそばなどがその代表例です」(共立メンテナンス 広報担当者)
中でも大浴場・サウナは、「いかに客室を多くつくり稼働率を高められるか」という要件が重要視されるホテル業界で、客室数を減らしてでも「顧客のくつろぎにつながる空間づくり」に重きを置いた表れだという。
コロナ禍のサービス提供で、同社はさまざまな葛藤や試行錯誤があったことを明かした。
「昨年のGW期間は県をまたいだ移動自粛が広く呼びかけられており、コロナの早期終息の一助になればと全棟で予約受付を中止しました。売り上げは前年比20%以下まで落ち込みましたが、医療現場がひっ迫している状況からの決断でした。お客さまの安全面を考えながら、経営をハンドリングするという難しい選択を迫られた1年だったと思います」(共立メンテナンス 広報担当者)
オリンピックの延期が決まったことから、訪日外国人客を見越して進めていたカプセルホテルタイプの新ブランド「グローバルキャビン」の撤退も決めた。安全性を考慮して始めた朝食の「お部屋テイクアウトサービス」も、需要がなく中止に。失敗を挙げればキリがないと担当者は振り返る。
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