渋谷に異変? イケアやダイソーの出店で「ファッションの街」に何が起きているのか:磯部孝のアパレル最前線(2/3 ページ)
若者の街として長く親しまれている東京・渋谷の景色が大きく変わろうとしている。ファッション文化を輩出してきた街に今、何が起きているのか……
跡地にはイケアやダイソーの新業態が
サカゼン渋谷店が閉店した3月に、新しい店舗が渋谷エリアにオープンした。1つは全国に57店舗展開しているレプレゼント(東京都渋谷区)が運営する「AWESOME STORE(オーサムストア)」と、100円均一ショップ大手の大創産業が展開する新業態店「Standard Products(スタンダードプロダクツ)」だ。
両店舗ともプチプラ雑貨を取りそろえたショップとはいえ、それぞれで出自が違う。
AWESOME STOREは「米国ライフスタイル雑貨」をコンセプトにした原宿発祥のおしゃれなプチプラ雑貨店。そしてStandard Productsは大創産業が手掛ける「全方位向300円ショップ」で、CouCou、THREEPPYに次ぐ第3の300円ショップだ。特にStandard Productsはオープン当時に入場制限がしかれるほどの活況だった。
このプチプラ雑貨に脚光が当たったのは今から8年前の13年、北欧プチプラ雑貨の「Flying Tiger Copenhagen(フライング タイガー コペンハーゲン)」の日本進出だった。北欧センスの光る色やデザインに、それまで圧倒的な低価格をウリにしてきた100均ショップにもインパクトを与えた。
その100均市場はというと、1位大創産業(*1:売上高5015億円、3622店舗)、2位セリア(*2:売上高1814億円、1679店)、3位ワッツ(*3:売上高527億円、1240店)、4位キャンドゥ(*4:売上高730億円、1065店)の大手4社による寡占市場が進んでいる。ひと昔前までは中小入り乱れての戦国時代だったのが、近年ではM&Aを含めた優勝劣敗がはっきりとしてきたように思う。
成長を続けていた100均市場も原材料や人件費の高騰の煽りから踊り場に差し掛かってきたと見る向きもある。100均市場の飽和感から脱却を図り、成長路線に載せる戦略の1つとして大創産業の選んだ道が、おしゃれなプチプラ雑貨市場への本格参入だった。
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