イベント運営は“肌感覚”から脱却できるか? 「ファンの分析」が秘める可能性:既存ファンがリピートしていなかった……!(3/4 ページ)
イベントの顧客分析は難しい。例えばライブに参加する際、A社でチケットを買い、B社で配信映像を視聴し、グッズはC社のサイトで購入する──というように、複数の企業がかかわり、データをばらばらに持っているからだ。この現状を変えようと取り組む、バルス(東京都千代田区)のCEO、林範和氏に話を聞いた。
既存ファンがリピートしていなかった……! データが与えた気付き
バルスに所属しているアーティスト「銀河アリス」のイベントでも、同システムを活用している。
これまでSNSに投稿されるコメントなどから、イベントに来場してくれるファンはリピーターのコアファンが中心で、新規来場者はほとんどいないと考えていた。しかし、データの収集を始めたところ、実は半分くらいは新規だと分かった。来場者のデータが想定と異なると、施策の打ち方がまったく変わってくる。
「以前は新規ファンを増やすため、新規の方が買いやすいようにエントリープライスを用意したりしていました。しかし、実は既存ファンがあまりリピートしていない状態だったので、リピートさせるための施策を考えるようになりました」
例えばグッズのTシャツの購買データを見ると、新規の人はよく買うが、デザインを変えてもリピーターはそれほど買っていないと分かったという。
ドームライブのような大規模なイベントでは、グッズの在庫も大きくなる。売れないと在庫が重くのしかかる一方、イベント初日に売れすぎれば在庫切れになり、売り逃しが多くなる。購買データがたまってくれば、売れ行きを予想できるようになる。
ただ、データはたまらないと活用できない。分析も重要だ。同社はデータを把握しやすくするダッシュボードを提供し、最終的には「Google アナリティクスのように、オンライン上で自分たちのファンを分析できるようにする」予定だ。主催者はユーザーデータを活用して無駄を抑えた運営ができるようになり、ファンも欲しいものが手に入る状態を目指すという。
舞台「タンブリング」で導入予定
SPWN portalは、6月11日から始まるテレビドラマ原作の舞台「タンブリング」で正式に導入予定だという。なお、物販や整理券の仕組みは、開発途上で試験的に導入しているものもあるという。
「『タンブリング』のような作品の場合、コンテンツ(原作)が好きだから見る人もいれば、俳優が好きだから見に来る人もいます。SPWN portalで、その割合などの傾向も見えてくると考えています。作品のグッズだけでなく、個々のタレントのグッズも扱っているので、分析により何を用意しておくべきかが分かってくると、品切れして買えなかったということが少なくなるでしょう」
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