三菱電機、杉山社長が辞任 不正検査の「責任を痛感」:「風土改革」なるか
鉄道関連製品の不正検査が発覚した三菱電機は2日、会見を開き、杉山武史社長が辞任することを発表した。2日付で緊急対策室を発足し、当面は杉山社長が指揮。後任社長が決まり次第、交代するという。
三菱電機は7月2日、鉄道関連製品の不正検査について謝罪会見を実施。杉山武史社長が自らの辞任を発表した。同日付で緊急対策室を発足し、当面は杉山社長が指揮。後任社長が決まり次第、交代するという。会見で杉山社長は「労務問題、不正アクセス問題などが立て続けに発生し、皆様の信頼を大きく毀損した。社長として責任を痛感している」と話した。
同社は6月14日、検査の自動化の過程で不正を把握。鉄道車両用空調装置や空気圧縮機ユニットの一部で、顧客と契約で取り決めた検査が適切に行われておらず、不正や不実施があった。なお、発覚した不正に起因する事故は確認されていない。
社内では本来行うべき検査とは別の検査の結果をもって、省略しても問題ないだろうと認識。顧客の了解を得ずに検査を省略していたという。同社は安全性に問題はなく、法令違反はなかったと説明している。不正行為は1985年から35年以上にわたって行われてきた。
今後は外部の弁護士を委員長とする外部調査委員会を設立するほか、緊急対策室を2日付で発足。社長が主導し、取締役会の監査役会が監督する。9月までに調査結果と再発防止策を公表する予定。
不正検査を巡っては、同社の長崎製作所(長崎県西彼杵郡時津町)が製造する鉄道車両関連製品の検査に不正検査があったと、29日に報道各社が報じていた。一部の報道では、検査結果を偽装するために専用プログラムが使われていたとしている。
【編集履歴:2021年7月2日18時20分 初出時のタイトルを改めました】
関連記事
- 19年のブラック企業大賞は「三菱電機」 初の2年連続受賞
- ブラック企業大賞を2年連続で受賞した三菱電機 過労死を繰り返す「隠蔽」の構図を探る
19年夏に三菱電機で発生した社員の自殺。激しいパワハラが問題視されたが、同社のこうした事件はこれが初めてではなかった。なぜ、痛ましい事件が相次いでしまうのか。背景には、遺族の訴訟や申請を「コスト」と見なし、事実を隠蔽する姿勢が透けて見える。労働問題に詳しい今野晴貴氏が解説する。 - スパイは社員に紛れている! 三菱電機、ソフトバンクの情報漏洩が人ごとではない理由
三菱電機やソフトバンクの社内情報が、サイバー攻撃やスパイによって流出したことが報じられた。だが、このような手口は最近始まったことではないのが現実だ。日本の全ての企業が標的になっていると考えて対策に乗り出さなくては、どんどん喰い物にされてしまう。 - 「売り上げが落ちてもいいから、残業をゼロにせよ。やり方は任せる」 社長の“突然の宣言”に、現場はどうしたのか
「来年度の目標は、残業時間ゼロ」──社長の突然の宣言は、まさに寝耳に水の出来事だった。準備期間は1カ月。取り組み方は、各部門に任せられた。現場はどう対応したのか? - ワクチン接種の有無「職場に○×で貼り出し」はNG? 企業が絶対にしてはいけない対応例
「従業員が自ら接種を希望しているから問題ナシ」──企業側はこのように認識しがちだが、実は拒否しづらい状況を作ってしまっている可能性もある。訴訟リスクを避けるため、企業はどう対応すべきなのか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.