夢破れた格闘家、年商1億円の社長に NTT東、プリマハムも認めた「儲かる畜産」:畜産業界のAIカンパニー(4/4 ページ)
格闘家人生を諦めた吉角裕一朗さんは、社長を目指し、地元熊本で2つの事業を立ち上げた。それぞれ年商1億円規模に成長させている。東京で夢破れた若者が、格闘技とはまったく関係のないビジネスの世界でなぜ成功することができたのだろうか。
プリマハムやNTTなどの大手企業から提携の相談を受ける
コーンテックの実績は、畜産農家以外の耳にも届いている。大手食肉加工食品メーカーのプリマハムは、コーンテックの技術を導入している。宮城県に新工場を作る予定だが、そこでもコーンテックの自家配合プラントとカメラの導入が決まっているという。食品ロス削減に向けたエコフィード利用も積極的に取り組む予定だ。
また、食肉加工の工場にカメラを導入し、データで管理したいという依頼も入っている。従来は、人の目利きで肉の品質を判断していた。属人化し、スキルや知識の継承がなされないことに加え、伝染病などの懸念もあったことから、カメラの導入を検討しているという。
NTTとは、6月7日に共同で神奈川県の養豚業者を対象に、実証実験を開始した。NTTは畜産業者に対し、カメラなど機材面でのサポートは可能だが、畜産に関する知見がなかった。コーンテックは技術面だけでなく、畜産に関して総合的な知見を持っていたことから、提携が決まったという。
大手企業からの引き合いも多く、日本の畜産業の底上げを担うコーンテック。今後の展望について、吉角さんは「現在は畜産業でビジネスを展開していますが、コーンテックはAIカンパニーだと自覚しています。取得データをAIで分析する行為は、個人情報侵害に当たる可能性が高いです。倫理的なハードルがあるため、データを利用したビジネスが生まれにくい状態です。豚は倫理問題に発展することがないので、データ活用を通して成功体験を積み、畜産業界以外にもビジネスを展開していきたいと思っています」と話す。
格闘家として上京し、夢破れた青年が「社長になる」という思いだけを抱え、年商1億円のビジネスを2度も立ち上げるに至った。挫折を「挫折」と思わずに、次の成功を信じて動き続けることが秘けつといえるだろう。
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