「ブラック校則」で波紋 今の日本社会で、ツーブロックは本当に就職で不利なのか:「異形」か「個性」か(5/5 ページ)
「就職活動に影響する」とツーブロックを禁止する学校が話題に。本当に髪形程度で就職に不利になるのか。そんな社会でよいのか。
世界中で人気を博し、発行部数でギネス記録を持つ漫画『ONE PIECE(ワンピース)』に登場するキャラクター「光月おでん」は、人の言葉を話すネコ、イヌ、そして河童に暴力を振るう人間たちを懲らしめて言い放ちます。
「恥を知れ貴様ら!!!異形を恐れるは己の無知ゆえ!!」
子どもたちを画一的なルールで縛っておけば、大人は管理しやすくなります。会社組織も同様に、画一的なルールで社員を縛っていれば経営が成り立っていくのであれば、それほど楽なことはありません。しかし、時代は動き、世の中の価値観も経済環境も常に変化しているのです。
そんな中でも、古い価値観に縛られた教育や企業運営をしていては、ゲームチェンジをしかけたり、イノベーションを生み出したりする側ではなく、それらに振り回される側になってしまいます。これでは、いつまでも違いを“個性”と捉えて多様性を生かすような社会へ脱却することはできません。
“異形”を恐れているのは誰なのか?学ばなければならないのは誰なのか――それは、いつまでもツーブロックが就職に影響するような社会構造を維持し続けようとする者たち、全員なのではないでしょうか。
著者プロフィール・川上敬太郎(かわかみけいたろう)
ワークスタイル研究家。1973年三重県津市出身。愛知大学文学部卒業後、大手人材サービス企業の事業責任者を経て転職。業界専門誌『月刊人材ビジネス』営業推進部部長 兼 編集委員、広報・マーケティング・経営企画・人事部門等の役員・管理職、調査機関『しゅふJOB総合研究所』所長、厚生労働省委託事業検討会委員等を務める。雇用労働分野に20年以上携わり、仕事と家庭の両立を希望する“働く主婦・主夫層”の声のべ3万5000人以上を調査したレポートは200本を超える。NHK「あさイチ」他メディア出演多数。
現在は、『人材サービスの公益的発展を考える会』主宰、『ヒトラボ』編集長、しゅふJOB総研 研究顧問、すばる審査評価機構株式会社 非常勤監査役、JCAST会社ウォッチ解説者の他、執筆、講演、広報ブランディングアドバイザリー等の活動に従事。日本労務学会員。男女の双子を含む4児の父で兼業主夫。
関連記事
- 社員に「何か手伝うことはないですか?」と言わせる会社が時代に合わなくなっていくと思える、これだけの理由
若手社員にありがちな、定時後の「何かやることありますか?」という伺い立て。日本企業は個々の役割分担があいまいだからこそ、こうした「職場第一主義」的ななりふりが求められてきた。しかし、時代の変化によって、こうした職場第一主義から抜け出す必要が生じてきている。 - 「新人は白シャツ」「ツーブロック禁止」 会社や学校で、“謎ルール”が存在している事情
会社で「新人は白シャツ強制」、学校で「ツーブロック禁止」――。日本の会社や学校で、意味不明な“謎ルール”が存在しているが、なぜ昭和的な発想がいまもはびこっているのか。筆者の窪田氏はこのように見ていて……。 - 上から目線? 経団連が発表した「教育界への提言」が、経済界へのブーメランなワケ
経団連が発表した教育界への提言は“喝”ともいえる内容で、至極まっとうなことをまとめている。その一方で、何となく違和感を覚える理由はどこにあるのか。 - リストラしたい会社と、しがみつきたい社員 双方を苦しめる「成功体験」の正体
パナソニックの“リストラ”報道が話題となっている。人員削減したい企業、そして会社に残りたい社員。双方はそれぞれ成功体験を抱えていると筆者は指摘し、その成功体験を捨てない限り、不幸な人員削減が続くと解説する。 - ハラスメントブームの功罪 立て続けに起こる「就活セクハラ」報道に潜む違和感をひもとく
最近、採用担当者の「セクハラ」事件が多いが、果たしてそれらを「セクハラ」で片付けていいのか。言葉で事象を可視化するメリットがある一方、ハラスメントブームには注意点も必要ではないだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.