「民泊」が盛り上がる? 欧米の「今」と日本の「これから」:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
再び緊急事態宣言に突入した。インバウンド需要はほぼ消滅し、多くの宿泊施設は苦戦しているわけだが、そうした中でもとある民泊は好調だという。どういうことかというと……。
再び緊急事態宣言に突入した日本。7月23日に始まる東京オリンピックも、緊急事態下に行われるという前代未聞の大会になる。これもひとえに、ワクチンの供給が欧米先進国に比べて遅れていることがある。ワクチンの効果うんぬんよりも、多くの人がワクチン接種を済ますことが通常生活に戻るための理由になるからだ。
先日、英国で決勝戦が行われたサッカー欧州選手権での会場でも、優勝したイタリアが凱旋帰国したあとの勝利パレードでも、大勢の観衆がコロナ以前のようにマスクをせずに集まっていた。そろそろ世界が元通りになりそうだと多くの人が感じたことだろう。
61万人ほどの犠牲者を出した米国でも、バイデン政権が掲げた「7月4日までに成人の7割にワクチン接種を行う」という目標は達成できなかったが、多くの人がワクチンを受けており、日常生活が戻りつつある。自由に行動できなかった鬱憤(うっぷん)を晴らすかのように、いま米国ではあるビジネスが急激に盛り上がっている。
民泊だ。
新型コロナの苦境とワクチン接種によるビジネス再開の開放感などが絡み合って、民泊が改めて見直されているのである。
米テレビのCNNビジネスによれば、株価を見ても4月までにはすでに経済は復調を始めている。航空会社やホテルでは、ユナイテッド航空とサウスウェスト航空の株価はどちらも、コロナが広がる前の価格より30%以上も上昇し、ヒルトンとマリオットはそれぞれ10%ほど上げていた。
加えて、20年12月に新規株式公開(IPO)で公開価格の2倍をつけた民泊仲介サイトを運営するエアビーアンドビーの株価も、IPO以降に20%以上高くなり、旅行予約サイト大手のエクスペディアも現在、前年比で倍近い価格になっている。
観光都市であるラスベガスに暮らす筆者の知人によると、現地は観光客であふれかえっているという。さらに大きな会場で、見本市や展示会といった大規模なイベントも再開し、多くのビジネスパーソンを見かけるようになったそうだ。コロナ前の生活に戻りつつあるようで、ホテルの稼働率は6割近いという。
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