ライオン流「働きがい」改革 “成長につながる”副業とは?:労働時間管理の工夫も(4/5 ページ)
消費財でおなじみのライオンは、2019年7月からライオン流「働きがい改革」を推進している。今回主に取り上げる副業も働きがい改革の重要な要素の1つである。その副業も社員が他社で働くだけでなく、他社からの副業者も受け入れている。
外とのつながりでとりわけ会社が期待する1つのパターンが、中小企業の経営層とのつながりだ。
「ライオン社内にいると経営者と直接話す機会はめったにありません。私自身は以前、営業の仕事をしていたので、卸などの社長様等の経営者と話す機会に恵まれました。しかし生産や研究、スタッフの人たちにはそうした機会もあまりなく、経営者が日頃からどんなことを考えているのかに触れる機会が少なかったりします。私が出会った経営者は目の前の売り上げや資金繰りを気に掛けながらも、次の事業の予測をするなど高い視点から経営を考えていました。また、自分のような若輩者にも相談を持ちかけ、私の意見を聞いて喜んでいる姿に、人間力の高さを感じたのです」
働きがい改革では自律性や当事者意識が重要視されている。それらを養うためにも経営者の視点や考え方を知ることは大いに役立つ。副業はお金を稼ぐ、仕事の経験を積むだけでなく、経営者視点を身に付ける場でもある。
鳥取県とも連携 地場企業で副業する契機も
副業は従業員自ら探すのが原則だ。ただし、副業はやってみたいが、どうやれば探せるのかが分からない社員もいる。そこで、キャリアデザイン・サポートのチームが作成している社内イントラ上に副業紹介サイトのリンクを貼ったり、地場企業の成長戦略を実現できるプロフェッショナル人材を活用したいという地方企業の副業募集を案内したりしている。副業紹介サイトの登録や、それに続く面接などは全て従業員自らが行う。
地方企業に関しては、プロフェッショナル人材のマッチングを目的とする国の「プロフェッショナル人材事業」の活用を進めている。
「各自治体に置かれた拠点の担当者の方々と話す機会があり、とても積極的だった鳥取県との間で、この4月から取組みを始めたところです。副業を希望する社員が登録シートに名前を伏せた形でスキルや経験などを記載し、鳥取県側にみてもらえるようにしています。鳥取県側で希望通りの人材がいれば、あとはハローワークを介して地元企業とのマッチングを行い、成立すれば副業に就くことができます」
コロナ禍でテレワークが日常化した。社員がテレワークに慣れてきたことは副業には追い風だと大道寺氏は言う。
「現状ではWebで進行できる仕事も多いと思います」
副業の利用状況は単発の仕事も含め、4月中旬までで60人前後だという。職種的には幅広く、一定の職種には偏ってはいないそうだ。
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