ビフォーアフターで見る、「目標管理」1on1の失敗例「課題を丸投げしてしまう上司」編:人事側のポイントも解説(1/5 ページ)
多くの企業が取り組む「目標管理」制度だが、なかなかうまくいかないケースも多い。その理由は、マネジャーと部下の間の温度感の違いにも起因する。では、どうすればいいのか。実際にあった1on1を基に振り返る。
目標管理制度を導入しているけれど、うまくいっていないと嘆く企業はとても多いです。このような企業の経営者からは、以下のような課題を耳にします。
- 事業が思うように成長していない(事業の成長鈍化)
- 社員が思うように成長していない(社員の成長鈍化)
- 毎年変わり映えしない目標設定が続いている(マンネリ化)
- 上司が部下の状況を見ていないのではないか(マネジャーへの不信感)
- 社員の成長意欲が低いのではないか(社員への不信感)
「目標管理制度を、もっと機能できるように改定したい」「評価制度が悪いから、制度を見直して適正な評価ができるようにしたい」――先日、とある企業の経営者からこのような要望がありました。この企業はソフトウェアを販売している企業で、社員が約300人、マネジャーは約60人です。15年前に目標管理制度を導入し、目標設定とそれに伴う評価制度の運用を行っています。この質問を受けて、筆者は次のように質問しました。
「現場の上司と部下の間で、どのようなやりとりがされているのですか?」
経営者は、答えに窮しているようでした。実際に現場で何が起こっているのかは見えていないようです。
この企業以外でも、現在は多くの企業で目標管理制度が導入されていますが、その目的は「社員自身に目標設定をさせ、その目標達成のために社員が主体性をもって自身を管理し、成果につなげていく」というものです。もともと、目標管理制度を提唱したのは、あのピーター・ドラッカーです。「部下のモチベーションを高めた結果、生産性を高める」。目標管理制度は、そのための「現場での人事マネジメント手法」といえます。
すなわち目標管理制度の目的は、社員個人の目標設定とプロセス管理ですが、その上でマネジャーと部下によるコミュニケーションは必須です。まず、現場で起こっていることを知らないと本当の課題が分からないのは当然ではないか――筆者は経営者にそう伝え、マネジャーと部下の目標管理面談へ同席することにしました。
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