コロナ禍でも改革断行で黒字転換のアダストリア 多ブランド展開で進める“差別化”と“課題”:磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)
グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームなどを展開するカジュアル衣料大手アダストリアの22年2月期第1四半期(21年3〜5月)の決算が好調だ。
「インテリア・雑貨」の注力で競合と差別化
店舗数に着目してみる。05年に70店舗だったグルーバルワークは10年前の11年末に162店舗とわずか6年の間に2.3倍の店舗数を増やしてきた。しかし、11年からの10年間では209店舗と伸びが鈍化した。全国に20万人以上の人口を抱える中核都市は129。10万人以上となると282にまで広がる。グローバルワークの店舗数が209店を境に伸びが鈍化したことを鑑みると、ファッションストアとして、最低でも20万人以上の規模感がないとビジネスが成立しないのかもしれない。
単一ブランドによる店舗数の増加が見込めなければ、店舗サイズの大型化は考えられて然るべきだ。しかし、店舗サイズにあわせてアイテムを増やしていくには限界もあって、商品量を増やしても売れずに値下げしたり、商品を処分したりするリスクにもつながり、効率を落としてしまう可能性がある。
そこで強化策として浮上するのが、ライフスタイルブランドの強化。アダストリアのいう“ライフスタイル型”とは、ファッション衣料にシーズン雑貨や生活雑化を組み合わせる形のことを指す。
同社が15年に吸収合併したトリニティアーツが展開していたスタジオクリップやニコアンドはもともと雑貨やインテリアの取り扱いがうまいブランドで、クリスマスツリーやラグマットなど雑貨のヒット商品も生まれた。ファッション衣料を中心にラインロビング(専門性を高め差別化を図る方法)していくのであれば、インナーなどへラインアップを広げていくのだろうが、インテリアや雑貨に注力して品ぞろえを広げていったのが同社の特徴でもある。
その結果、直近の部門別売上構成比を見ても雑貨(キッズ商品含)の構成比は22%と、メンズの14%より高いくらいだ。ブランド単位による性別の偏りはあるにせよ、雑貨商品の存在感はある。
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