コロナ禍でも改革断行で黒字転換のアダストリア 多ブランド展開で進める“差別化”と“課題”:磯部孝のアパレル最前線(2/4 ページ)
グローバルワーク、ニコアンド、ローリーズファームなどを展開するカジュアル衣料大手アダストリアの22年2月期第1四半期(21年3〜5月)の決算が好調だ。
「ライフスタイル」に焦点を当てた“大型店”の出店を加速
第1四半期末時点で、アダストリアの主要ブランド別店舗数は、グローバルワークが209店、スタジオクリップ184店、ニコアンド145店、ローリーズファーム137店、レプシィム122店、ジーナシス74店、ベイフロー58店、レイジブルー50店、その他275店。22年通期での出退店計画は、出店114店、退店60店の54店舗増を目指す考えで、大型店舗の開発とライフスタイルブランドの出店を加速する。
大型店舗の開発例として同社は、イオンモール川口(埼玉県川口市)に出店する「ベイフロー イオンモール川口店」を例に挙げる。同ブランドとして初となる約250坪の大型店舗。コンセプトである「Respect nature, respect fashion.」を最大限に表現する店舗とし、従来の展開カテゴリーに加え、古着やアウトドア、サーフ、グリーンなど、ブランドが提案する“ショアライフ”のあらゆるシーンに適したなアイテムを取りそろえた。
アダストリアではこの250坪クラスが大型店舗という位置付けとなる。ユニクロを例にとると国内815店舗のうち、1000坪クラスの超大型店舗が21店、500坪級の大型店舗が245店で、標準からサテライト型店舗まで549店舗といった陣容。ユニクロの店舗サイズの標準は150〜250坪となる。
ユニクロと同じファミリーターゲットとする旗艦ブランドの、グローバルワークの標準店舗サイズは150坪。ユニクロとの違いはインナー、ナイティ(女性用のナイトウェア)を含めた商品カテゴリーの数だ。これら日用品の数はユニクロが圧倒的に多い。目的買いのついでに、ファッション商品を衝動買いさせるユニクロに対し、アダストリアはボトムスなどのファッション商品を中心にリピーターを呼び込む狙い。
ファッション商品を中心に展開し、機能やコンセプトのメッセージ性を前面に打ち出すアダストリアと、インナーやナイティまでそろえ、価格表記を前面に打ち出すユニクロとでは、店の雰囲気が少し変わってくる。
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