「ツイートを理由に退職処分」は適切だった? ホビージャパン問題から考える、社員の不適切SNS問題:働き方の「今」を知る(1/4 ページ)
転売を肯定するツイートが炎上した社員を退職処分としたホビージャパン。果たしてその処分は適切だったのか。また、社員のSNSを、企業はどのように管理すればよいのか。
7月末、総合ホビー雑誌『月刊ホビージャパン』の出版元であり、模型・玩具の販売なども手掛けるホビージャパン(渋谷区)は、同社の編集者が、自身のSNSにおいてプラモデルなどの買い占めや転売を容認する発言を行ったとして、当該編集者を退職処分としたほか、常務取締役など監督者3人を降格させたことを発表し、話題となった。
当該編集者は7月23日、自身のSNSにおいて「転売を憎んでいる人たちは、買えなかった欲しいキットが高く売られているのが面白くないだけ」「頑張って買った人からマージン払って買うのって、普通なのでは」などと発言。また別のコンテンツ配信サービスでも「転売している人は、買えなかったあなたよりも努力してそれを勝ち取った」「希少価値がついたものは、誰でも複数欲しくなる」といった、転売や買い占めを容認する趣旨の書き込み(現在はいずれも削除済み)を行っていた。
これらの投稿を受け、ネット上では「自社でプラモデルを販売し、取引先にも玩具メーカーが多くあるのに、転売を容認するのか」などと一気に批判が起こり、炎上状態に。当該編集者は投稿内容を撤回し謝罪した上、ホビージャパンも事態を受けて「(顧客の)ホビーに対する思いを裏切る事態になった」「当社としての考え方とは全く相いれるものではなく、ホビーに携わる人間としてあってはならないもの」として謝罪し、会社や編集部としては転売や買い占めを容認していないと明言。編集者を社内規定に従って処分する方針を示していた。
そして7月26日、同社は当該編集者を退職処分、管理監督者をそれぞれ譴責(けんせき)した上で、常務取締役編集制作局長を取締役に、『月刊ホビージャパン』編集部編集長を副編集長に、副編集長をデスクにそれぞれ降格したと発表した。
一部には「処分が厳しすぎる」といった声も
世の中の反応を見る限り、ホビージャパンの迅速な対応を評価するものが多かったようだが、一部からは「一社員のプライベートなSNS投稿だけで退職処分なんて厳しすぎる」といった意見や、専門家からも「懲戒権のらん用では」「会社は不当解雇で訴えられても文句を言えないのでは」といった指摘が見られた。
そもそも懲戒処分とは、組織の秩序維持のために、何らかの違反に対して科せられる制裁のことだ。
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