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『文春』と『新潮』が中づり広告から撤退、それでも車内広告に未来はある:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(3/7 ページ)
「週刊文春と週刊新潮が中づり広告を終了する」と8月17日報じられた。電車で中づりで政治や芸能の旬な話題がひと目で分かったものだが、スマートフォンの普及で下を向く人が増えた。確かに大手2社の撤退は転機になるだろう。しかし、中づり広告は廃れるかといえば、そうでもなさそうだ。
中づりスペースなしの通勤電車が誕生していた
鉄道事業者側にも中づり広告減小に対応する動きがあった。14年にJR東日本は山手線向けの新型車両「E235系」の投入を発表した。車内広告媒体として窓上に三連液晶モニターを搭載し、中づり広告を廃止する方針だった(詳細は、筆者記事参照)。
しかし、当時はまだ中づり広告は鉄道の副収入の要であり、特に山手線は収益の柱だった。結局、広告業界からの強い要請を受けて、E235系電車には中づり用の金具が後付けされた。
中づり広告を完全に撤廃した通勤電車は17年に誕生した西武鉄道の40000系電車だ。車内の小さなステッカー広告を除く広告はすべてデジタルサイネージになった。中づり広告があった部分にも画面が設置されている。
同様の装置はJR西日本が321系電車や225系電車で採用しており、中づり広告と併用している。10年にはJR東日本も成田エクスプレス用の259系電車にフライトインフォメーション用として搭載された。現在は広告スペースとして販売も行われている。
鉄道業界は緩やかに、中づり広告のデジタル化を進めているといえそうだ。
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