『文春』と『新潮』が中づり広告から撤退、それでも車内広告に未来はある:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/7 ページ)
「週刊文春と週刊新潮が中づり広告を終了する」と8月17日報じられた。電車で中づりで政治や芸能の旬な話題がひと目で分かったものだが、スマートフォンの普及で下を向く人が増えた。確かに大手2社の撤退は転機になるだろう。しかし、中づり広告は廃れるかといえば、そうでもなさそうだ。
紙媒体ならではの悩み
日本雑誌協会が公開している「印刷証明付き発行部数」による雑誌発行部数のランキングをみると、週刊文春は51万6667部と抜きん出てトップ。2位は週刊現代の35万7778部、3位は週刊新潮の32万2588部、4位に週刊ポストの31万部と続く。5位以降は10万部台だから、文春トップ、2位グループ3誌という構図だ。
週刊現代は17年に中づりを終了し、週刊ポストも16年に終了した。上位4誌が中づりを止めてしまった。雑誌の通販サイト「Fujisan.co.jp」が紹介する最新号の中づりは週刊誌が9誌、隔週刊誌が7誌だ。寂しくなってきた。
上位4誌の共通点は、コンテンツのデジタル化に成功していることだ。週刊文春は文藝春秋と合わせて『文春オンライン』を展開し、デジタル版やサブスクリプション版も販売する。大手ポータルサイトには記事単位での販売も実施している。週刊現代もグループ誌合同で『現代ビジネス』を展開し、有料のプレミアムサービスを用意している。週に1度、月4冊の週刊誌を買うよりも割安だ。
週刊新潮は『デイリー新潮』を無料公開。紙の週刊誌が主戦場で、ネットに上がる記事は関連書籍と週刊誌の販売サイトへリンクしている。ポータルサイトで記事単体の販売も実施。週刊ポストは女性セブンとのダブルブランドで『NEWSポストセブン』を無料公開。ポータルサイトへの有料記事配信も実施中だ。
週刊文春と週刊新潮は報道で「効果が薄くなった車内広告のコストを電子出版に向ける」という主旨のコメントを寄せている。あわせて、費用対効果だけではなく、紙媒体によるリスクも臭わせる。
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