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『文春』と『新潮』が中づり広告から撤退、それでも車内広告に未来はある:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(5/7 ページ)
「週刊文春と週刊新潮が中づり広告を終了する」と8月17日報じられた。電車で中づりで政治や芸能の旬な話題がひと目で分かったものだが、スマートフォンの普及で下を向く人が増えた。確かに大手2社の撤退は転機になるだろう。しかし、中づり広告は廃れるかといえば、そうでもなさそうだ。
メトロアドエージェンシーの広告販売資料によると、中づり広告は掲載日の前日に掲出開始するため、その作業日の2営業日前午前に印刷済みの広告を車両基地に納品する。金曜日に掲出する広告は3営業日前の火曜日だ。原稿は月曜日に完成し印刷する必要がある。
一方、週刊誌の最終入稿は発売日前々日だ。直前に特ダネが入っても広告には反映できない。特ダネと差し替えられて消えた記事が広告に出てしまう。ギリギリまでスクープを待つ必要があるし、他紙との競争もある。ネットニュースもライバルだ。このタイムラグは歯がゆい思いだろう。
このタイムラグによって「ライバルの中づり広告を入手し、特ダネを真似できる」可能性がある。17年5月に週刊新潮が掲載した「文春砲スクープ泥棒騒動」だ。文藝春秋社の営業担当者が出版流通業者から中づり広告のコピーを入手し、編集部に渡していたと糾弾した。出版流通業者は関与を認め、文藝春秋社は否定している(詳細は、当時の報道参照)。
中づり広告の宣伝効果が弱まると、リスクのほうが目立ってしまう。
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