これまでになかった「箱型の授乳室」が、じわじわ増えている秘密:週末に「へえ」な話(4/4 ページ)
ショッピングセンターなどで、木製の箱を目にすることはないだろうか。高さは2メートル、幅は1メートル80センチもあって、壁面には哺乳瓶のイラストが描かれている。これは箱型の授乳室で、2〜3年ほど前からじわじわ増えているのだ。その背景に何があるのかというと……。
箱型授乳室の強み
ママロの最大の武器は、個人的に「データ」を取得できることだと思っている。例えば、化粧品売り場に設置すると、どういった結果が出るのか。化粧品売り場といえば、多くの百貨店は入口付近の最も目立つところに構えているが、そうしたところに授乳室はない(少なくとも筆者は見たことがない)。
一等地中の一等地に授乳室を設置することによって、利用者の滞在時間が長くなるかもしれない。滞在時間が長くなることによって、化粧品の売り上げにどのような影響があるのか。やってみなければ、分からないことができる。そして、データを集めて、それを分析することができる。そこに、この箱型授乳室の強みがあるのではないだろうか。
また、7月に発表した「ママロ2」では、子どもを寝かせると自動で体重を計測できるようにした。専用のアプリと連動させることで、子どもの成長を把握できるようにしたわけだが、こうした試みはどんどん増やすことができる。例えば、利用することでお母さんのストレスはどのくらい軽減できたのかなど、テクロノロジーとハードを組み合わせて、さまざまなことを試すことができるのだ。
最後に、今後の設置台数は? と聞いたところ「2〜3年後に3000〜5000台ほど設置したいですね」(長谷川さん)とのこと。現状、既存の授乳室は1万8000カ所ほどあるので、その数字を上回ることができれば、どういったことになるだろうか。
出かけるときに、わざわざ「トイレはあるのかなあ」と不安を感じて、場所を調べることはほとんどない。授乳室もトイレと同じような感覚で、「事前に探すことをしない」お母さんが増えれば、世の中がちょっとよくなりそうだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
キユーピーの「ゆでたまご」が、なぜ“倍々ゲーム”のように売れているのか
キユーピーが販売している「そのままパクっと食べられる ゆでたまご」が売れている。食べことも、見たことも、聞いたこともない人が多いかもしれないが、データを見る限り、消費者から人気を集めているのだ。なぜ売れているのかというと……。
前年比130% 6個入りの「冷凍たこ焼き」が、売れているワケ
テーブルマークの「ごっつ旨い大粒たこ焼」が売れている。2020年の売り上げをみると、前年比130%で推移した。今年も引き続き好調のようだが、商品化にあたってどのような苦労があったのか。担当者に話を聞いた。
発売前に現行モデルの5倍! パナの電動工具が売れに売れている理由
パナソニック ライフソリューションズ社の電動工具が売れている。新ブランド「エグゼナ」を立ち上げて、フラッグシップモデル「Pシリーズ」を発売したところ、販売目標を大きく上回る結果に。売れている理由を取材したところ……。
エースの「背中が蒸れないリュック」は、なぜ売れているのか
暑い夏。リュックを背負って「汗ばむなあ」「蒸せる」と感じたことがある人も多いのでは。こうした問題を解決するために、バッグメーカーのエースは「蒸れないリュック」を開発した。どういった機能が搭載されているのかというと……。
「オレが若いころは」「マネジメント=管理」と思っている上司が、ダメダメな理由
「オレが若いころは……」「マネジメントとは管理することだ」といったことを言う上司がいるが、こうした人たちは本当にマネジメントができているのだろうか。日本マイクロソフトで業務執行役員を務めた澤円氏は「そうしたマネージャーは、その職を降りたほうがいい」という。なぜかというと……。

