堅調ZOZOに死角はあるのか 若年層を取り込む「本田翼」CM戦略と「ツケ払い」から考える:磯部孝のアパレル最前線(4/4 ページ)
ZOZOTOWNを運営するZOZOが好調だ。直近の22年3月期の第1四半期 (21年4〜6月)の商品取扱高は1067億円(前年同期比11.9%増)、営業利益125億円(同20.8%増)と、ステイホームによるデジタルシフトという高いハードルに対して2桁増だった。
アパレル各社も自社ECに商機
その代表はユニクロ、ジーユーを擁するファーストリテイリングだろう。すでに国内EC売上高1076億円(20年8月期)でその規模感はEC界でも大きい。前年29.3%増でEC化比率も9.5%→13.3%と順調に伸びている。
当初から外部サイトに頼らず独自路線を貫いた同社にとって、EC売上に関した収益面での恩恵は大きく、この成功モデルを目標とする他企業の流れは継続拡大していくとみられる。
ZOZOが基幹事業のアパレルショッピングモール以外に力を入れているのが、ZOZOGLASS(肌の色を計測、化粧品が選べる)とZOZOMAT(足サイズ計測)の浸透だ。18年に発表し話題となったZOZOSUITの失敗をふまえた再チャレンジともいえる試み。
自分サイズのフィット感についての不満を服以上に感じるのが“足元”かもしれない。こうしたオリジナル路線の積み重ねが、これからのZOZOTOWNの姿を決めていくことになるのだろう。
著者プロフィール
磯部孝(いそべ たかし/ファッションビジネス・コンサルタント)
1967年生まれ。1988年広島会計学院卒業後、ベビー製造卸メーカー、国内アパレル会社にて衣料品の企画、生産、営業の実務を経験。
2003年ココベイ株式会社にて、大手流通チェーンや、ブランド、商社、大手アパレルメーカー向けにコンサルティングを手掛ける。
2009年上海進出を機に上海ココベイの業務と兼任、国内外に業務を広げた。(上海ココベイは現在は閉鎖)
2020年ココベイ株式会社の代表取締役社長に就任。現在は、講談社のWebマガジン『マネー現代』などで特集記事などを執筆。
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