堅調ZOZOに死角はあるのか 若年層を取り込む「本田翼」CM戦略と「ツケ払い」から考える:磯部孝のアパレル最前線(3/4 ページ)
ZOZOTOWNを運営するZOZOが好調だ。直近の22年3月期の第1四半期 (21年4〜6月)の商品取扱高は1067億円(前年同期比11.9%増)、営業利益125億円(同20.8%増)と、ステイホームによるデジタルシフトという高いハードルに対して2桁増だった。
「ツケ払い」のヒットが大衆化の要因
年間購入者数が360万人だった5年前の16年11月にサービス開始し、利用者は10カ月で100万人を突破した。このサービスの特徴は、商品の支払いを遅らせる「ツケ」が可能で、支払い前に商品が手元に届く点だ。
GMOペイメントサービスが提供し、利用手数料を払えば、限度額5万5000円まで購入商品の支払いを最長2カ月遅らせることを可能とした。当初は年齢制限や親の同意を確認するシステムが無かったためにクレジットカードを持たない若い世代を中心に一気に広がっていった。
欲しい服がクレジット決済で購入できるのだから、若い世代には魅力的に映ったことだろう。しかし、利用者が増えるに従ってトラブルの報告も相次ぎ、現在では未成年者について親の同意を必要とするように改善されている。
こうして多くの若者を取り込んだことによって、若者でも手にしやすい安価でトレンドに敏感なブランドが飛躍的に伸び始めた。
人気セレクトショップのMONO-MART(モノマート)やEMMA CLOTHES(エマ クローズ)、Chaco closet(チャコ クローゼット)といったブランドを展開するMONO-MART(東京都品川区)は、10年からD2Cショップやブランドの運営を開始。設立11年で年商87億円を超える勢いで伸びている。
大手でもその動きが顕著だ。アダストリアの子会社、BUZZWIT(東京都港区)が展開するapres jour(アプレジュール)、Kutir(クティール)、カップルコーデに特化したPairPair(ペアペア)などは、ZOZOTOWNの売れ筋ランキング上位の常連ブランドだ。
ZOZOTOWNの新規会員獲得戦略と、それに呼応するかのように受け皿として売り上げを伸ばした若者向けD2Cブランド。順風満帆に見える同社だが、総合的な品ぞろえが強みの楽天とアマゾンといったライバル企業の動きも気になるところだ。その対抗策の一つがPayPayモールへの出店だろうが、その行方も気になる。またアパレル側にも、ZOZOTOWNに頼らずに自社ECに力を入れている企業もある。
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