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堅調ZOZOに死角はあるのか 若年層を取り込む「本田翼」CM戦略と「ツケ払い」から考える:磯部孝のアパレル最前線(2/4 ページ)
ZOZOTOWNを運営するZOZOが好調だ。直近の22年3月期の第1四半期 (21年4〜6月)の商品取扱高は1067億円(前年同期比11.9%増)、営業利益125億円(同20.8%増)と、ステイホームによるデジタルシフトという高いハードルに対して2桁増だった。
好調ZOZOTOWNでも“低下する数字”が
好調ZOZOで気になる数字として指摘しておきたいのは「購入点数」「購入単価」「出荷単価」の低下だろうか。購入点数は前年同期比0.1%減となる2.15枚。平均購入単価3490円(同1.4%増)と出荷単価7501円(同1.2%増)は増加しているものの、5年前の16年比でみると低下している。(16年:平均購入単価5041円/出荷単価9605円)
購入点数や価格の低下について同社は「全体購入者に占める新規会員数の増加と因果関係がある」と説明する。新規会員が増えるに従って、購入点数や価格が下がったと感じるのも仕方なく、5年前までの年間購入者数は約360万人だったのに対し、今では973万人以上にまで拡大している。つまり「ZOZOTOWNの大衆化によって、これらの価格も引き下げられた」と言いたいのだ。
既存アクティブ会員の中でも、会員歴の期間によって特徴が異なるようで、会員歴が長くになるに従って年間購入金額も高くなる傾向があるらしい。言い換えてみればライトユーザーとヘビーユーザーとの関係にも似ている。“ZOZOTOWNファン”と“購入選択肢の一つ”と考えている客層では、その活用法にも違いが現れているといえそうだ。
ではZOZOTOWNを大衆化させた一番の要因は何だろうか。それは間違いなく「ツケ払い」サービスの大ヒットによるものだと考える。
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