「報連相は部下からすべし」と考える上司が大間違いなワケ:なぜ、あなたの部下は報連相しないのか(1/6 ページ)
ビジネスの基本である「報連相」。上司の中には、「部下が報連相をしてこない」と悩む人も多いのでは。その根幹にあるのは、「報連相は部下がやるべきこと」という勘違いだと筆者は指摘する。
「報連相をしっかりやれと上司からいわれるんですけれど、どうやってやればいいのか分からないんです」――これは、筆者がある会社の組織課題についてヒアリングをしていたときに、メンバーから聞いた言葉です。詳しく聞いてみると、そのメンバーは、さらにこんな話をしてくれました。
「上司はいつも忙しそうだし、難しくて重要な仕事もしていると思うので、どういうタイミングで報連相をすればいいのか迷ってしまって……。報連相のために打ち合わせの時間を設定しても、上司から急な打ち合わせが入ったといわれてリスケになることも多くて。確かに僕の報連相なんて大したものではないですし、そのために上司の時間を割くのってどうなのかなと思うこともあります」
一方で、上司側からはこんな話がありました。
「報連相ができない部下が増えて困っています。部下からの報連相がなくてトラブルになるケースが増えてきて、『報連相をやれ』と厳しく部下にいっているのですが、なかなかいうことを聞いてくれない。報連相をしない部下は仕事もできないので、評価も下げています」
筆者は、この会社の上司向けに「マネジメント研修」を行いました。参加者に「報連相は、誰からするものですか」と聞いたところ、全員が「部下からするもの」と答えていました。さらに、前述した部下のエピソードを紹介し、「部下が報連相ができずに悩んでいるのをどう解決しますか」と聞いたところ、誰一人として明確に解決策を打ち出せなかったのです。
せっかく有用な報連相も、こうした上司と部下の認識の違いによって、うまく機能していない企業が多いのではないでしょうか。
報連相は、あくまで「手法」
あらためて「報連相」とはどういうものなのでしょうか。
【報告】:仕事の結果や経過を上司に伝えること
【連絡】:仕事の関係者へ状況を伝えること
【相談】:仕事で困ったことや迷ったことに対し周囲に意見を求めること
非常にシンプルで、仕事の基本動作が詰まっている素晴らしい手法ですね。ただ、この「シンプルさ」が、逆に報連相を難しくしてしまっているのではないでしょうか。報連相は、あくまで仕事を進める上での「手法」です。それなのに言葉自体が一人歩きしてしまい、本来の目的が理解できていなかったり、誤解されたりしているように思います。
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