「報連相は部下からすべし」と考える上司が大間違いなワケ:なぜ、あなたの部下は報連相しないのか(4/6 ページ)
ビジネスの基本である「報連相」。上司の中には、「部下が報連相をしてこない」と悩む人も多いのでは。その根幹にあるのは、「報連相は部下がやるべきこと」という勘違いだと筆者は指摘する。
報連相がもたらすメリットについて、C君は3つに分けて次のように話してくれました
部下側のメリット(1):自分のリスクヘッジになる
任された仕事でも、自分は責任を取れる立場にないし、判断を間違えることもあると思っている。その場合、周囲にも迷惑を掛けてしまうし、怒られたらへこんでしまう。早めに上司へ報連相することで、自分自身のリスクヘッジにもつながると思う。
部下側のメリット(2):仕事が手戻りしない
進めている仕事を早めに報連相することで、上司が考えていることが理解でき、方向性が間違っていたら軌道修正が早くできる。進めてしまってから上司に確認して方向性が間違っていたときの手戻りは無駄なので、早めに報連相するようにしている。
部下側のメリット(3):根回しが効率的にできる
仕事を進める上で大変なのは、関係者への根回し。小出しに報連相すれば、途中経過も伝えられるので、効率的になる。周囲にも自分がやっている仕事を伝えられるので、アピールもできる。
C君は笑いながら「仕事量が多くて大変だからこそ、いかに上手に手を抜いて生産性を上げるかが大事だと思います。上司に面倒くさいな、という顔をされることもありますが、そもそも上司が報連相をやれといっているのだから、相談が不足しているよりも、多すぎるくらいでちょうどいいと思います」ともいっていました。
ではそんなC君は、実際にどんな形で報連相しているのでしょうか。簡単に見てみましょう。
C君:「すみません、▲▲の件なんですが、5分だけ時間ありますか?」
上司:「ごめん、今手が離せないので後でもいい?」
C君:「分かりました。じゃあ12時からのランチの前に5分だけいいですか?」
上司:「分かった分かった。ランチの前ね」
C君は、このようなやりとりを上司とひっきりなしに行っています。上司は「しょうがないなあ」と苦笑いしながら打ち合わせをしています。C君は、上司の巻き込み方がとてもうまく、こうしたやりとりを見て周囲のメンバーも同じように報連相をやり始め、職場のコミュニケーションにもプラスに働いています。このような部下の存在は、上司にとってとてもありがたい存在です。
報連相で重要なのは「上司」
さて、ここまで部下視点で見てきた報連相ですが、うまく行うための重要なポイントは、実は「上司の姿勢」「上司の言動」にあります。上司のスタンスにより、部下の報連相のレベルは大きく左右されます。では、上司はどんな姿勢や言動を心掛ければいいのでしょうか。筆者は5つのポイントがあると考えています。
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