「報連相は部下からすべし」と考える上司が大間違いなワケ:なぜ、あなたの部下は報連相しないのか(3/6 ページ)
ビジネスの基本である「報連相」。上司の中には、「部下が報連相をしてこない」と悩む人も多いのでは。その根幹にあるのは、「報連相は部下がやるべきこと」という勘違いだと筆者は指摘する。
するとA君は、思い悩んだ様子で「報連相の仕方が分からないんです」と話します。彼は言葉を選びながらこう続けました。「社員になって仕事をするようになり、自分がまだ知識も経験もないことを痛感しています。それでも、難しいことであっても自分で解決しなければ、と思ってやってみたら報連相が遅くなってしまいました」と打ち明けてくれました。筆者と他の社歴の長い部下とのやりとりを聞いていて「自分も責任感をもって仕事をしなければ」と無理をして自分で仕事を解決しようと考えてしまったとも話してくれました。
A君はまだ新入社員です。知識も経験も少ないA君に対して、まだ一つ一つの仕事を確認しながら進めなければならないのに、それを怠っていたこと、そして間違った報連相の仕方を(結果的に)インプットしてしまったこと。これは明らかに上司である筆者のマネジメントの問題だと、大いに反省しました。
報連相の失敗例(2):上司を慮り相談ができなくなったケース
同じく、筆者の会社でのケースです。別の部署のB君が、ある打ち合わせが終わった後に、こんなことを話し始めました。
「社内SNSで上司とやりとりをしていたのですが、気になることがあって『▲▲はやらなくて大丈夫ですか』と聞いたのですが、その返答が『ああ、それはいいよ』と簡単な一言で……。聞いてはいけないことを聞いてしまったんじゃないかと思って、上司の考えていることが分からなくなり、その後も相談や質問をしにくくなってしまったんです」
そのやりとりを見せてもらいましたが、筆者からすると、何の気なしに書かれた上司のコメントに見えました。しかし、そのコメントの背景を上司が伝えないことにより、B君は上司の気持ちを過度に慮(おもんぱか)ってしまったようです。しかも、社内SNSは言葉が残ります。B君はそれを見ていろいろと思いを巡らしてしまったようです。
筆者は早速各部署の上司に対して「上司にとっては当たり前のことでも、部下は断片的な情報しか持っていない。誤解が生じることがあるので、当たり前のことでもしっかり背景を伝えましょう」と伝えました。社内SNSでは反応も見えづらいので、確認しつつ丁寧に進めるべきだということもあわせて伝えました。
「報連相は自分にとって得」と語る部下
ここまでは実際に筆者の社内で起こった報連相の失敗事例を見てきました。一方で、社内には「報連相が上手」と評されるメンバーもいます。その一人であるC君に、コツを聞いてみました。すると、C君は「報連相は、僕にとって得になることなんです」といいます。
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