2015年7月27日以前の記事
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ポケモンカードの価格高騰に投資家の影 1枚100万円超えも古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(2/3 ページ)

カードゲームとしては古株となるポケモンカードだが、コロナ前の19年から20年にかけて復活の予兆が現れ始め、21年にはその熱狂がさらに先鋭化しているという。中には、純粋なファンだけではなく「ポケカ投資家」といった、ポケモンカードのトレーディングを専門とする者も参入しているという。

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ポケモンカードの熱狂

 ポケモンカードの復活を象徴する出来事が、20年7月に発売されたポケモンカードゲームの「Vスタートデッキ」の爆売れである。この商品は初週で50万セットが販売され、ポケモンカードの構築済みデッキとしては史上最速の売れ行きを示した。


「Vスタートデッキ」。構築済みデッキの売れ行き好調は、プレイ人口が拡大していることを示す

 Vスタートデッキとは、どのパックにも同じカードが封入されている構築済みデッキで、ランダムでレアカードが封入されているブースターパックとは異なる。構築済みデッキは主にビギナーを対象とした商品で、慣れてきたらブースターパックを購入し、オリジナルのデッキにカスタマイズするという遊び方が一般的である。そのため構築済みデッキ売れ行きのとプレイ人口の拡大・縮小には程度の相関がある。

 ひとたびプレイ人口に広がりが生まれると、その流行に乗り切れていない人々は不安を感じるようになるものだ。私たちは、何かを買うときに自分の意思で購入したと考えているかもしれないが、その決定の背景には他者の影響によって決定されたものである場合も少なくない。日本の映画売上記録を塗り替えたことが象徴的な「鬼滅の刃ブーム」も、ミクロの観点では友人のSNSの投稿や会話・マクロの視点ではマスメディアなどの取り上げによって指数関数的に加速していった。

 このように消費の選択が、他者の影響を受けることを行動経済学上では「消費の外部性」という。そして、その流行に乗り切れていない不安を払拭するために流行のものに飛びつきたいと思う効果を、楽器隊に群がる子供たちの例にたとえてバンドワゴン効果という。そんなバンドワゴンにはたびたび”招かれざる客”も呼び寄せてしまうことがある。それが、いわゆる転売ヤーや、利益を生み出す投機商品とみなす人々だ。

 彼らはレアカードをお気に入りのカードとしてではなく、売買益が期待できそうなカードとみなす。人気が高まりそうなカードを安値で購入しておき、タイミングをみて買値よりも高く売り抜けるようなものもいれば、ポケモンカード投資の方法を有料の教材にまとめて販売するという動きにもつながっている。

 “ポケモン”カードではあるが、安定して高い値段となっているのはポケモントレーナーのカードだ。トレーディングカードゲームといえばモンスターや魔物のイラストが多いが、ポケモンカードでは、人気のトレーナーも活躍させられる点で独自のポジションを取っているといえるだろう。


ポケモンカードの中には、100万円を超える価格で売買される例も出ている(ヤフオク)

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