トイレの個室に「使用時間」を表示 で、どうなったのか?:「実証実験」の結果(3/4 ページ)
首都圏のオフィスで、ある「実証実験」が行われた。トイレの個室に「他の個室の使用状況」と「滞在時間」を表示したところ、どういった効果があったのだろうか。システム開発を手掛けているバカン社の河野社長に話を聞いたところ……。
開発は難航
「さあ、つくるぞー」と決意するものの、開発は難航した。トイレの扉にセンサーを設置するといっても、誰も使っていないときには開くように設計されている扉もあれば、誰も使っていないときもきちんと閉まる扉もあれば、多目的トイレなどで使われている引き戸もある。大きく分けてこの3つのタイプに適したセンサーを開発するのに時間を要するが、人感センサーなどを組み合わせることでプロダクトを完成させたのだ。
話は前後するが、商品開発に着手する前、河野さんの耳にこのような声が届いた。「スマホの電波を妨害するようなモノを設置すれば、長時間滞在する人が減るのでは?」と。しかし、こうした仕組みを導入して、誰が喜ぶのだろうか。「嫌なことをされて行動を変えるよりも、優しいアプローチがあるのではないか」と河野さんは考えて、個室内に情報を表示する方法を生み出したのだ。
優しいアプローチといえるかどうか分からないが、抑止力を狙った方法として、ステッカーがある。個室の壁などに「トイレでの長時間使用禁止」などと書かれたステッカーを見たことはないだろうか。
「うーん、ちょっと思い出せないなあ」という人もいるだろうが、それは仕方がないのかもしれない。新型コロナ感染防止のために、政府が「不要不急の外出は控えてください」を何度も何度も言っているうちに“慣れ”が生じているように、こうしたステッカーも何度も何度も見ているうちに、効力が薄れていったのかもしれない。
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