日本柔道メダルラッシュに学ぶ、「努力・気合・根性」の日本企業が“オワコン”な理由:働き方の「今」を知る(4/5 ページ)
東京五輪でメダルラッシュとなった日本柔道。その裏には、過度な「努力・気合・根性」からの脱却があった。一方、日本企業はといえば……。
「残業は当然、夜遅くまで働くのは当たり前」
人間である以上、体力にも集中力にも限度がある。「人間の脳が集中力を発揮できるのは朝目覚めてから13時間以内であり、起床から15時間を過ぎた脳は酒酔い運転と同じくらいの集中力しか保てない」という指摘もある。すなわち、集中力こそ大切な事務系職種のビジネスパーソンにおいては、「残業中の生産性が最も低い」ということになるし、最も生産性の低い時間に、わざわざ割増残業代を払うなど、経営者もお人よしすぎるわけだ。
残業が常態化している組織は、いわば「残業をしてなんとか終わらせる」というソリューションしか持ち合わせていない状態だ。残業を生み出している原因の解決(業務量や業務配分の見直し、システム化、効率化など)ができず、残業に頼るだけでは、事業の成長もおぼつかないであろう。
「風邪くらいの体調不良なら、仕事するのは当たり前」
これまで市販の風邪薬のキャッチコピーである「絶対に休めないあなたへ」といったメッセージが疑問視されることはほとんどなかった。コロナ禍により、体調不良を押して無理やり出社することで、かえって周囲に罹患者を増やしてしまうリスクが生まれる時代となったし、長時間労働同様、そんな状態の中で仕事をしても、十分なクオリティーが担保できるわけでもない。「滅私奉公」が尊く見える時代は終わったのだ。実際、現在の風邪薬のキャッチコピーの一部は「かぜの時は、お家で休もう!」へと変化している。
「手間をかけて丁寧に仕事を進めるのは当たり前」
全員テレワーク中の企業の経営者が、取引先の営業担当者から執拗に「訪問させてほしい」と懇願されると相談してきた。何でも「テレワーク中なので対応不可」と伝えても食い下がってくるので理由を尋ねると「法人取引の契約書は、営業担当が直接原本を持参する決まりになっているから」といわれ、あきれたという。礼節を重視しての取り組みなのかもしれないが、時代に即していなければかえって失礼になるだろう。
他にも、さほど参照されない社内資料作成に時間をかけたり、システム導入を忌避し、手書き書類にこだわったりするのも悪弊の一つだ。手続きよりも本質を追求すべきであろう。
「会議が多いのは当たり前」
働き方改革とテレワークの進展によって、最も改善のメスを入れやすい部分こそ「ムダな会議」である。ムダな会議をムダなままオンライン会議に移行しても、全く意味がない。必要のない会議はこの機に廃止し、配布資料はあらかじめ配って目を通させ、会議中は議論と決断に集中するだけでも効率は大いに向上するはずだ。
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