「推しを応援できる」クレカNudge 「決済収益だけで十分黒字化できる」(2/3 ページ)
Nudgeに特徴は大きく2つある。1つが、スポーツチームやアスリート、アーティストなどとの提携だ。もう1つは、フィンテックスタートアップで一般的なプリペイドカードやデビットカードではなく、敢えてクレジットカードを発行する点だ。黒字化ラインは、ユーザー数25万人。2年後の黒字化を目指すという。
プリペイドではなく、敢えてクレジットカードでサービス
もう1つの特徴は、フィンテックスタートアップで一般的なプリペイドカードやデビットカードではなく、敢えてクレジットカードを発行する点だ。スタートアップがプリペイドサービスを提供するのは理由がある。発行にあたり与信が不要で、KYC(本人確認)も不要。財務負担も軽く、将来的に銀行口座に転用することも容易といった理由だ。
しかし、プリペイドは最初にチャージをしないといけないが、そのチャージをしてもらうのが大変。さらに、サブスクリプション、ガソリンスタンドなど使えない場所がけっこうある。「ユーザーからすると、プリペイドは、嫌な体験によってさらにカード離れを招くのではないか」(沖田氏)ということから、クレジットカードの提供に踏み切った。
ターゲットとするのは、20〜30代の若年層だ。キャッシュレス決済といえば、QRコードが有名だが、実は決済額の9割は依然としてクレジットカードだ。国内外でスタンダードはクレジットカードで、さらに大きな伸びが期待される。
ところが、利用者の属性を見ると、年齢が高いほどキャッシュレス比率が高く、「意外だが、低いのは若年層」(沖田氏)だ。利用率は20代が最低であり、クレジットカードも1〜2枚しか保有していない。
その理由は、大きく3つある。1つはそもそもクレジットカードを作れない点だ。「申し込みの3割、特に若い方、女性、非正規はそもそも作れない場合が多い」(沖田氏)。そして、申し込み時に大量の個人情報を入力する必要があり、プロセスがあまりに大変なことが2つ目だ。3つ目は「なんとなく」怖い、不安だということ。
Nudgeでは、新たな法改正も活用し、これらの課題のクリアを狙った。
上限10万円までの新制度を活用
4月1日に施行された改正割賦販売法では、上限10万円以下の少額の分割後払いサービスの提供事業者を「登録少額包括信用購入あっせん業者」として、登録要件と契約解除などの規制を緩和した。
ナッジはこの登録を行い、登録プロセスを大幅に簡素化した。改正法では、従来の包括支払可能見込額調査に代わり、ビッグデータやAIなどを活用した与信審査手法が認められており、それを活用した形だ。
さらに、クレジットカードでありながら、銀行口座振替による支払いを行わず、セブン銀行ATMを使った現金での返済方法に限った。これは、口座振替自体が「怖い」というユーザーの声を反映したものだという。「カードの締め日、引き落とし日が分からない。真面目な人ほど、その日になって引き落とせなかったらブラックリストに載ってしまうのではないか? と不安になる」(沖田氏)
与信上限は10万円だが、返済すれば与信枠が復活するため、実は通常のクレジットカードよりも多くの利用をすることも可能だ。使った月の翌月末までにATMで返済すれば、手数料は一切かからない。期限を越えると、1日あたり、2000円につき1年の手数料(年利18.25%相当)が発生する仕組みだ。
もっともこの手数料で利益を得るという思いはなく、「我々としてはどんどん早く返してもらえるとうれしい。アプリでも『早く返さないと利息がかかってしまいますよ』と通知するなど、返済を促す」(沖田氏)という。
当初はATMでの返済のみだが、振込手数料が引き下がる10月以降、銀行振込による返済方法も提供予定だ。
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